写真1●九州工業大学大学院工学研究科機械知能工学専攻博士課程後期の橋本直 氏(写真:後藤究)
写真1●九州工業大学大学院工学研究科機械知能工学専攻博士課程後期の橋本直 氏(写真:後藤究)
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写真2●ARToolKitを使ったARアプリケーションのデモ。紙の上に印刷されたマーカーを認識して平面を算出し,その上でキャラクタを動かした。
写真2●ARToolKitを使ったARアプリケーションのデモ。紙の上に印刷されたマーカーを認識して平面を算出し,その上でキャラクタを動かした。
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写真3●Flashを使ってWebブラウザ上で動作する「FLAToolKit」を動作させたところ
写真3●Flashを使ってWebブラウザ上で動作する「FLAToolKit」を動作させたところ
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 2009年2月26日に開催した拡張現実(AR:Augmented Reality)技術に関するITproビジネス・カンファレンス「AR(拡張現実)ビジネスの最前線」において,九州工業大学大学院工学研究科機械知能工学専攻博士課程後期の橋本直氏は「ARの仕組みを理解する」と題して,ARの工学的な基礎知識と「ARToolkit」を使ったARアプリケーションの作り方を講演した(写真1)。ARToolkitは奈良先端科学技術大学院大学の加藤博一教授が開発したARアプリケーション作成ライブラリである。マーカーと呼ばれる四角の印刷物の上に,コンピュータ・グラフィックス(CG)の映像を表示できる。

 講演の中ではパソコンを使ったARのデモを披露した。Windowsのネイティブ・アプリケーションとして動作するARToolKitのほか(写真2),Flashを使ってWebブラウザ上で動作する「FLAToolKit」を動作させ(写真3),ARが手軽に扱える技術であることをアピールした。

 同氏は講演の締めくくりに,ARのビジネス化に向けたキーワードとして「試」と「知」を挙げた。試とは,実際の物の質感や大きさ,存在感などを仮想的に感じられるアプリケーションを指す。例えば,部屋に仮想的な家具を置く「家具配置シミュレーション」や鏡に映った人物の姿にめがねや服,化粧品などが仮想的に組み合わせられる「ARミラー」のようなアプリケーションが考えられるという。

 知のアプリケーションは,カメラを向けるとその物体に関連した情報が提示されるもの。例えば,家電にカメラを向けると操作方法の説明がスイッチの横に表示されたり,気になった人や物に向けるとその人や物の“トリビア的な情報”が得られるようなアプリケーションが考えられるという。