写真1 NTTドコモの説明会。左端が国枝部長
写真1 NTTドコモの説明会。左端が国枝部長
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写真2 国際事業を3種類に分類
写真2 国際事業を3種類に分類
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 「将来的には,国際事業の収益を全体の10%程度にまで大きくしたい」。NTTドコモは2009年2月26日に国際事業に関する説明会を開催,国際事業部長を務める国枝俊成氏はこう語った(写真1)。同社の2008年度の海外売上は1000億円近くになる見通しだが,これは売上全体の2%程度に過ぎない。これを「遠くない将来」に10%にまで引き上げたいとする。国内の携帯電話加入者は頭打ち傾向にあるため,さらなる成長を海外市場に求めるものである。

 同社の国際事業は,国際ローミング,法人向けソリューション,出資や提携の3つに分類できる(写真2)。このうち国際ローミングの売上は,2006年度に340億円,2007年度は460億円で,2008年度には560億円に達する見通し。これまで順調に伸びているが,アフリカ諸国など未展開の地域にもサービス・エリアを広げてさらに収入を増やしていく。

 このほか,頻繁に韓国に渡航するユーザーを対象に「海外プラスナンバー」を3月2日から提供する。これは,月額300円を支払うことにより,提携先のKTFのサービス・エリアではローミング・サービスよりも安価に通話できるという内容。例えば,韓国内の通話では,発信が1分当たり20円(WORLD WINGでは50円),着信は0円(同70円)である。

 法人向けとしては,上海に設立した現地法人ドコモチャイナ(都客夢(上海)通信技術有限公司)の取り組みや,在外邦人向けの日本語メール・サービスなどがある。

 出資と提携については,成熟国を中心とした「付加価値向上」と,成長国を中心とする「地理的拡大」の2軸があるとした。このうち最近力を入れているのが地理的拡大で,代表例としてタタ・グループへの出資を解説した。

 記者との質疑応答では,最近明らかになった充電器の統一化(UCS:ユニバーサル・チャージング・ソリューション)に関するものがあった。UCSは,GSM系のメーカーや事業者が中心になって推進しているが,NTTドコモや国内メーカーは入っていない。

 この点については,「統一化の取り組みには積極的に参加したい」としながらも,「USCは端子の数が少ないので,日本国内で採用されているすべての機能を入れられない。入れようとすると,コネクタが2個必要となる」と説明した。国枝部長は,国内で利用される規格と海外市場で使われる規格の整合については,「一企業としての取り組みを超えた一大テーマだ」とした。