総務省は2009年2月25日,NTT東西が電話の問い合わせ窓口「116」でフレッツ光の営業活動を実施していたことなどを問題視し,両社に行政指導を実施した。これは総務省が2007年4月に運用を開始した「競争セーフガード制度」に基づくもの。同制度ではNTTグループに対する規制の有効性や適正性を毎年度検証し,電気通信市場における公正な競争環境を確保する。

 総務省が今回,行政指導でNTT東西に要請した点は主に以下の三つ。

  • (1)116番に移転を申し込んだユーザーに対し,要望もないのにフレッツ光の営業活動を実施しないように周知・徹底し,その状況を報告すること
  • (2)RF方式の映像配信サービス「フレッツ・テレビ」が,NTT東日本による放送サービスとユーザーに誤解を与えないように,提供主体が他社(オプティキャスト)であることを広告に明記することを周知・徹底し,その状況を報告すること
  • (3)NTT東西の役員が県域子会社の役員を兼務している状況を報告すること

 (1)は「ユーザーが移転を申し込んだ際にフレッツ光について問い合わせをしていないにもかかわらず勧誘を受けた」といった苦情が競合事業者に寄せられていた。(2)はNTT東日本だけが行政指導の対象で,「NTT法で放送事業への参入が制限されているにもかかわらず,ユーザーの誤解を招く宣伝を行っている」といった不満がCATV事業者などから上がっていた。(3)は2007年度の検証結果に基づいた行政指導(関連記事)でも要請していたもので,「NTTグループの実質的な一体経営を防止する観点から,グループ会社間の役員の人事異動を禁止すべき」という要望が競合事業者から出ていた。

 NTT東西はこれらの点について3月31日までに総務省に報告する必要がある。NTT東日本は今回の行政指導に対し,「当社は法令等を遵守して公正競争の確保に努めており,公正競争を阻害する行為はしていない。今回要請された事項はいずれも昨年度と同様に,公正競争ルールの遵守を再確認するものであると認識しており,当社が公正競争を阻害する行為をしていたと認定されたものではない」とコメントしている。

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■変更履歴
公開当初は,総務省からの要請の(2)の対象を「NTT東西」としていましたが,正しくは「NTT東日本」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/02/25 21:00]