米VMwareは,フランス・カンヌで開催中の同社カンファレンス「VMworld Europe 2009」で現地時間2009年2月24日,仮想化製品を使ってクラウド・コンピューティングの活用を進めるための戦略と技術ロードマップを発表した。中心となるのは,“プライベート・クラウド”と呼ぶ社内クラウドを構築するための仮想データセンターOS「Virtual Datacenter Operating System(VDC-OS)」と,外部クラウドとの連携を実現する「vCloud」。

 社内クラウドは,サーバー,ストレージ,ネットワークといったITリソースを集約し,社内向けのクラウド型のサービスとして利用できるようにするというもの。これを実現するのが,データセンター全体を仮想化してリソースをユーティリティ化するVDC-OS。VDC-OSの構想は,同社が昨年9月に米国で開催した「VMworld 2008」でも既に発表していた(関連記事:VMware,社内“クラウド”を構築する仮想化技術を明らかに)。

 VDC-OSで構築した社内クラウドでは,レガシー・アプリケーションやデスクトップ・アプリケーションも含めて,あらゆるアプリケーションをサービスとして柔軟に利用できる。現在VMware環境で動作している既存のアプリケーションは書き換えなしでシームレスに移行が可能。同社は,VDC-OSを実現する製品「VMware vSphere」の開発を現在進めている。VDC-OSの最初の製品は2009年中にリリースする予定。

 vCloudは,社外のクラウド・サービスを社内クラウドと組み合わせて利用するための機能。同社は,大手サービス・プロバイダーと協力して,その実現に向けた取り組みを行っている。社内外のクラウドの連携を実現するAPI「vCloud API」の開発も進めているという。

 同社は,VDC-OSを利用した環境のセキュリティ対策を実現する仮想機器として,「vShield Zones」を発表した。物理リソースを共有した仮想化データセンター全体を複数の論理ゾーンに分割し,それぞれの信頼性のレベルや機密性を別個に設定することで,セキュリティ・ポリシーの順守やデータのプライバシーの保護を実現できる。

 また同社は,管理ツール「vCenter Server」で自動フェイルオーバーを実現する製品「vCenter Server Heartbeat」を併せて発表した。vCenter Serverを稼働するサーバーの構成とデータをスタンバイ・サーバーにレプリケートしておき,障害などによるダウン時に直ちに移行できる。

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