写真●米デル グローバル・インフラストラクチャー・コンサルティングサービスのロン・オグルスビー 仮想化担当プラクティス・エグゼクティブ
写真●米デル グローバル・インフラストラクチャー・コンサルティングサービスのロン・オグルスビー 仮想化担当プラクティス・エグゼクティブ
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 「物理的なハードを購入する必要がない仮想マシンはコストがかからないだけに、増殖する恐れがある」――。米デル グローバル・インフラストラクチャー・コンサルティングサービスのロン・オグルスビー 仮想化担当プラクティス・エグゼクティブは、2009年2月20日に開催したデルの仮想化技術に関する説明会で、企業が陥りがちな仮想化の落とし穴に言及した(写真)。

 オグルスビー氏は、「ITインフラの仮想化はIT部門のすべてを変える」とインパクトの大きさを強調する。企業情報システムの計画立案方法、機器調達の時期や内容、業務プロセスなど、影響は広範囲に及ぶという。ただし、企業が仮想化に的確に取り組んでいるかというとそうとは言い切れないと、オグルスビー氏は分析する。

 仮想化を導入する企業の実態は、「典型的なパス」と「すぐれたパス」の二つに分けられる。「典型的なパス」の企業の特徴は、仮想化によるROIが不明瞭であること。「08年にCIO(最高情報責任者)を対象に実施したアンケートでは、回答者の半分は仮想化によるITコスト削減を可視化できなかったと回答した。コスト削減できたかどうかわからないという回答もあった」とオグルスビー氏は話す。

 前述のように、いつのまにか仮想マシンが増えてハードウエアのリソースを食いつぶしてしまう「VMスプロール」と呼ぶ現象がみられたり、仮想化を急ぐあまり複数種のハイパーバイザが乱立したりするのも、「典型的なパス」企業の特徴である。それに対して、「すぐれたパス」の企業は短期間でもROIをはっきりと打ち出すことができているという。

 オグルスビー氏は、「仮想化は計画的に実施することが大切だ」と話す。デルは、「仮想化アセスメント」「仮想化の設計と立案」「実装/移行」「継続的な健全性とメンテナンス」の四つの切り口で、コンサルティングサービスを提供する。VMスプロールの防止策としては、「VMを使う部門やプロジェクトに課金する仕組みを整えておくべきだ」(オグルスビー氏)と指摘した。