新日鉄ソリューションズ(NS-SOL)は2009年2月20日から、複数の商品を組み合わせて構成する債券の一種である「仕組債(しくみさい)」の時価を理論的に算出するためのソフトウエアを提供する。名称は「SCUTUM(スキュータム)オンライン版」で、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスの形を採る。仕組債の価値評価やリスク評価のコンサルティングを手がけるアップフロントと共同で開発した。

 仕組債はデリバティブ(金融派生商品)を組み込むなど構成が複雑、流動性が低いなどの理由から「購入者が時価をすぐに把握するのは困難」(NS-SOL金融ソリューション事業本部の清水晋一ソリューション企画推進部長)。昨今の経済状況により、仕組債の価格が著しく低下しているケースもあるという。「ユーザー自身が自社が保有する仕組債の理論時価を自身で把握することが必要だ」と清水部長は説明する。

 SCUTUMを利用する際にはまず、仕組債として保有する銘柄を登録する必要がある。金利系、為替系、株価系など「代表的な銘柄が登録できる画面を用意している」(清水部長)。SCUTUMは登録された情報を基に、保有する仕組債の理論時価を金融工学のモデルを利用して算出する。

 金利の変更時の状況などのシミュレーションも可能だ。画面上で金利のグラフを操作することで、将来的な理論時価を計算する。「ストレステスト」なども、マウスクリックで実行できる。

 仕組債は一般に「大企業や中堅企業のほか、学校法人などが購入している」(アップフロントの四宮淳社長)金融商品だ。購入者に合わせて金融機関が作成する「テーラーメードがほとんど」(同)であるため、仕組債の価格を保有者が知る方法は「証券会社が提示する取引価格が主流」(同)という。取引価格は実際に証券会社が引き取る際の価格のため、理論時価よりも低い場合が多いという。

 料金は月額10万円から。別途、初期費用30万円が必要。サービスはWebブラウザを通じて利用できる。10億円以上の仕組債を保有する一般事業法人や学校法人の財務部、信用金庫といった小規模金融機関、監査法人を中心に販売していく。清水部長は「金融資産の時価算定が求められるなど、手元の金融商品の時価を知りたいというニーズが高まっている」とみる。今後3年間で約100社への提供を目指す。

■変更履歴
本文第1段落の2行目の「債権」は「債券」の誤りです。また第4段落2行目で「代表的なリスク計算方法である『バリュー・アット・リスク』や『ストレステスト』なども、マウスクリックで実行できる」としていましたが,正しくは「『ストレステスト』なども、マウスクリックで実行できる」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2009/2/23 19:40]