フィンランドのノキアシーメンスネットワークスは,バルセロナで開催中のMobile World Congress 2009で,LTEを発展させた通信技術「LTE-Advanced」のデモンストレーションを披露している(写真1)。
LTE-Advancedとは,ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)で議論が始まった第4世代携帯電話(4G)規格「IMT-Advanced」に向け,3GPPで標準化が進む通信規格。LTEを発展させ,100MHz近い帯域幅をサポートし,最大で1Gビット/秒のピーク速度を実現することを目指している。
今回ノキアシーメンスが披露したデモでは,ピーク速度の追求ではなく,LTE-Advanced向けに提案されているリレー技術を実現した。リレー技術とはコア・ネットワークにつながった基地局のエリア内に中継ノードを設置し,基地局と中継ノード間でホッピング通信させる仕組み。リレー技術を使うことで,単体の基地局ではパフォーマンスが落ちてしまうセル・エッジでの通信速度を改善できる(写真2)。
デモでは,セルのエッジで基地局に直接つながっている端末と,中継ノードにつながった端末の速度を比較。中継ノードにつながった端末のほうが2倍近く速度が改善されている様子を見せた。
同社のブースでは商用展開を間近に控えたLTEについてもライブ・デモを実施している(写真3)。商用展開を意識し,マルチベンダー環境,マルチ無線ネットワーク環境でLTEを動作させていた。具体的には米クアルコムのチップセットを使った端末機器と,ノキアシーメンスの基地局,コア装置の間で通信を実現。さらに同じ基地局,コア装置を使ってHSPAのネットワークも運営していた。
昨年までは速度を追求するような展示が多かったLTEだが,2010年以降の商用展開に向けて,より実際の運用環境に沿った形のアピールが始まっている様子だ。