写真1●NTTワールドエンジニアリングマリンのケーブル敷設船「すばる」
写真1●NTTワールドエンジニアリングマリンのケーブル敷設船「すばる」
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写真2●すばるに搭載されている新型の埋設機「P-7」
写真2●すばるに搭載されている新型の埋設機「P-7」
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写真3●ケーブル用のタンクはすばる船内に2つあり、ケーブルを円状に収容する
写真3●ケーブル用のタンクはすばる船内に2つあり、ケーブルを円状に収容する
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 NTTコミュニケーションズの子会社で、海底ケーブル敷設事業を手がけるNTTワールドエンジニアリングマリン(NTT WEマリン)は2009年2月18日、ケーブル敷設船「すばる」の内部を公開した(写真1)。すばるは通信会社などからの発注を受けて、日本と海外、日本国内の離島などを結ぶ通信ケーブルを海底に敷設する専用船である。

 09年1月に、ケーブルを海底に埋め込むための埋設機を新しい機種「P-7」に入れ替えたばかりだ(写真2)。ケーブル敷設時は、クレーンを使ってこのP-7を海底に沈める。P-7は海底を1~2メートル掘り起こす。すばる内部の海底ケーブル用タンクから、そこにケーブルを送り込む(写真3)。

 P-7がケーブルを敷設できるのは、水深2000メートルまで。従来型の「P-6」は1500メートルまでだった。岩盤を粉砕する機構を備えているため、岩盤地帯でも時間をかけずにケーブルを敷設できるようになった。

 海底であっても「ケーブルの切断や通信障害などのトラブルはかなりの頻度で発生している」(NTT WEマリン)。06年12月に発生した台湾沖地震の場合のようにケーブルが切断されたり、漁船の底引き網に引っかけられたりすることがある。すばるはそのような場合に切断現場に駆けつけ、ケーブルを船上に引き上げて修理し、再び海底に沈める。

 今や海底ケーブルは社会に欠かせないインフラの一つ。インターネットも企業向け国際通信回線も、海底ケーブルあってこそ実現できている。米グーグルや米アマゾンなどの海外にあるWebサイトへのアクセス時や、海外のユーザーとメールを送受信する際には、誰もが海底ケーブルを利用しているのだ。

 地震センサーや津波センサーを海底に設置することもある。その場合に重要になるのは、設置する場所の精度である。すばるは「ダイナミック・ポジショニング・システム」とよぶ仕組みを採用し、前後左右のプロペラで位置を微調整することが可能である。