写真●セカイカメラの画面。映像の上に,「エアタグ」と呼ぶタグが浮遊しているように表示される
写真●セカイカメラの画面。映像の上に,「エアタグ」と呼ぶタグが浮遊しているように表示される
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 頓智・(トンチドット)は,2009年2月17日~19日まで都内で開催されているファッションとデザインの展示会「rooms18」で「セカイカメラ」を初披露した。

 セカイカメラは,iPhoneのカメラを通して見ている目の前の映像に付加情報を表示するアプリケーション。2008年9月に革新的なITベンチャーを選ぶ米国のイベント「TechCrunch TOP50」に選ばれて話題になったが,インターネット上でデモ・ビデオが公開されてきただけで,実際にiPhoneで動作するアプリケーションは公開されていなかった。今回の展示会では,セカイカメラの専用ブースを設置。来場者がセカイカメラのアプリケーションをインストールしたiPhoneを自由に触れられる状態で公開した。

 今回公開したアプリケーションは,リアルタイムに撮影している映像と重ねて,「エアタグ」と呼ばれる半透明のアイコンが現れるもの。ユーザーの位置からの距離に応じて,アイコンの大きさが変わる。タグをタッチすれば,そのタグに関する詳細な情報が現れる。ユーザー同士の情報交換も可能。自分の位置にコメントを残しておくことで,同じ場所に後から来た友人にメッセージを渡せる。

 ただし,iPhoneには電子コンパスがないため,映像を撮影している方向とタグの内容は一致しておらず,ユーザーがタッチパネルのインタフェースを使ってタグを動かす必要がある。T-Mobile USAのAndroid端末「G1」にセカイカメラを移植することで,電子コンパスに対応して情報を表示する機能に対応させるという。

ビジネスは広告と個人課金の両面を想定

 今後は「エアフィルタ」,「エアシャウト」,「エアポケット」という3種類の機能を追加する。エアフィルタは,友人関係や趣味嗜好といったフィルタを使うことで,セカイカメラに表示される情報を最適な分量に留めるというもの。エアシャウトは,特定の場所だけではなく,広い範囲に情報を伝達するアプリケーションだ。「水の上に水滴をたらすと,波紋が広がっていくようにある地点の情報が周囲に広がっていくイメージを考えている」(赤松正行最高技術責任者)という。エアポケットはその場の情報を保存するもの。別の場所に移動しても,保存した場所の情報を取り出すことができる。

 セカイカメラの一般公開については「2009年の暖かくなるころ」(頓智・井口尊仁代表取締役社長)とし,明言を避けた。ビジネス・モデルはセカイカメラに企業から集めた広告を表示する「エアカンバン」による広告モデルと,セカイカメラ上で仮想のペットを飼う「エアキャラ」でユーザーに課金するモデルを追及するという。

■変更履歴
記事公開当初,社名を「頓知・」としていましたが,正しくは「頓智・」です。お詫びして訂正します。タイトルおよび本文は修正済みです。 [2009/02/23 14:15]