写真1●「ぐにゅナビ(goo new navigation)」の検索結果
写真1●「ぐにゅナビ(goo new navigation)」の検索結果
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 NTTとNTTレゾナントは2009年2月17日,ネット上の感想や評判を指標に使うレコメンド(推薦)エンジン「ぐにゅナビ(goo new navigation)」の実証実験を開始した。同実験は,ネット上の評価や感想,コンテンツのメタデータ,およびユーザーの好みの3指標を統合したレコメンド・エンジンの実現を目指すもの。

 両社は第1弾として,NTTレゾナント運営のビデオ・オンデマンド(VOD)サービス「シネマ・コンプレックス」内の約500作品を対象に「きれい」「かしこい」といった感性表現で作品を絞り込める検索サービスを提供する(写真1)。

 核となるのは,感性表現に関する辞書を自動生成する「感性解析技術」と,その辞書とユーザーの操作履歴などを基に推薦コンテンツを提示する「コンテンツナビゲーション技術」。前者はNTTのNTTサイバーソリューション研究所,後者はNTTレゾナントが開発した。

ブログなどネット上の文章を自動的にオントロジ辞書化

写真2●ぐにゅナビでレコメンドする作品をパーソナライズする仕組み
写真2●ぐにゅナビでレコメンドする作品をパーソナライズする仕組み
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 感性解析技術は,ブログ記事などに含まれる「タイトルAはスリルがあって面白い」といった「感想」や「評価」に関するさまざまな文章から,コンテンツに関するメタデータを抽出して辞書化するバックエンド側の技術。「スリル」など人の感性にかかわる単語と,映画の「タイトル」や「監督名」といったメタデータにかかわる単語を抽出し,言葉の上下関係や包含関係を示す「オントロジ辞書」として整理する。

 実証実験では,NTTレゾナントのブログ検索サービス「gooブログ検索」のクロール対象となっている大手ブログ・サイトを同技術で解析したオントロジ辞書を構築。たとえば「おぞましい」「グロテスク」といった意味の似た表現は「恐い」という表記に集約されるため,ユーザーが「恐い」作品を検索条件とした際に,似た表現で評価されたコンテンツを総ざらいできる。

 コンテンツナビゲーション技術は,初めて利用したユーザーに対して「もっともらしい」作品を提示すると同時に,検索操作の履歴に応じて推薦する作品を変えるフロントエンド側の技術(写真2)。まずユーザーの年齢と性別で初期条件を設定。「男性ならアクション映画を好む」といった一般的な指標を基に作品を推薦し,以降は「アクション」や「カンフー映画」といったジャンルや「かしこい」「きれい」といった感性表現による検索操作の履歴をWebブラウザのクッキーとして保存。履歴を基に推薦する作品をチューニングする。

 ぐにゅナビは,NTTレゾナントのポータル・サイトgooの実験サービス欄「gooラボ」内で2009年8月31日まで提供。実験を通じてNTTが技術的な有効性を検証し,NTTレゾナントがユーザーの利用動向やフィードバックを基に実用化に向けた評価・検討を実施する。