写真●グローバル・リレー・コミュニケーションズのシャノン・ロジャース バイスプレジデント兼コンプライアンス担当弁護士
写真●グローバル・リレー・コミュニケーションズのシャノン・ロジャース バイスプレジデント兼コンプライアンス担当弁護士
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 メールアーカイブのサービスを手がけるカナダのグローバル・リレー・コミュニケーションズは2009年2月17日、ネットワンシステムズと共同で電子メールの保存に関する各国の法整備状況について説明会を開いた。「米国訴訟の85%では電子メールが証拠として取りざたされている。米国企業と取引するならば“訴訟準備”は不可欠だ」とバイスプレジデント兼コンプライアンス担当弁護士のシャノン・ロジャース氏は説明する(写真)。

 訴訟時に電子メールやファイルを証拠として扱う「e-Discovery」に備えて、メールのアーカイブに着手する企業は世界的に増えているという。「米国商取引委員会(SEC)や金融取引業規制機構(FINRA)が設けた規則や、医療分野の法律などに対応するため。メールを削除していたために裁判で敗訴するケースもあり得る」とロジャース氏は話す。

 グローバル・リレイのメール・アーカイブ・サービス「Message Archiver」の顧客企業は現在3000社。同社がカナダの東海岸、西海岸に1カ所ずつ設けたデータセンターで、企業がやり取りするメールをすべて保管する。「データセンターがカナダにあることは、米国愛国者法を気にする企業には好評だ」とロジャース氏は話す。しかも、メールはハードディスクだけでなく、一度しか書き込めない記録メディアにも保存。改ざんできないようにして、証拠性を高めている。

 日本ではメールの保存を義務づける法律は存在しない。しかし、「海外に拠点を多く持つグローバル企業や、事業継続の観点からメールを外部に保存しておきたいと考える企業などから引き合いが多い」と、代理店であるネットワンシステムズ セキュリティ事業推進本部の山崎文明本部長は語る。

 ネットワンは08年12月に「Message Archiver」の国内販売を開始した。料金は1000ユーザーで1年契約の場合、54万800円。7年間保管するメニューも提供している。