アプリックスは,NTTドコモの携帯電話向けアプリケーション・ソフトウエア「iアプリ」を,マイクロソフトの「Windows Mobile」,ノキアの「S60」,グーグルの「Android」,アップルの「iPhone」のほか,携帯ゲーム機向けに自動変換する技術を開発した。開発にはNTTドコモが協力した。

 同技術を使うと,既存のiアプリが,ほかの携帯端末でも動くようになる。タッチパネル向けの動作や画面の向きを変えたときの動作にも自動対応できるという。

 この変換技術は,コンテンツ・プロバイダにとっては朗報といえる。これまでは,複数の通信事業者や端末にアプリケーションを提供しようと思えば,移植作業が必要だったからだ。あるコンテンツ・プロバイダは「オリジナルのコンテンツを開発するより,移植作業の方にコストがかかる」というほどである。特に,たくさんのコンテンツ資産を持ち,海外進出を検討しているコンテンツ・プロバイダには大きなインパクトがあるだろう。

 一方,アプリックスにとっては新たな収益源となる。コンテンツ・プロバイダからは,アプリ販売の収益の一部を技術利用料として受け取ることになるからである。発表文では特に言及していないが,アプリックスはコンテンツ・プロバイダから販売額の数%を得るもようだ。

 NTTドコモにとっては有力なコンテンツを囲い込めなくなるデメリットがある。例えば,大量のiアプリが,国内ではソフトバンクモバイルが販売するiPhoneに移植されることが予想される。発表文を見る限り,他社に塩を送る形になるNTTドコモの真意は不明だが,携帯端末プラットフォームが多様化するなか,「アプリケーション開発者をiアプリ開発につなぎとめる」狙いがあるとみられる。今回の発表には,NTTドコモ フロンティアサービス部アプリケーション企画担当部長の山下哲也氏が「NTTドコモが創りだしてきたサービスを元にこのような技術が生み出された事を嬉しく思います」と歓迎のコメントを寄せている。