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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2009年2月9日,フリーのRed Hat Enterprise Linux互換ディストリビューションであるCentOSを含めたオープンソース・ソフトウエアの有償サポート・サービスを開始した。このサービスは日本法人独自のもので,「大手サーバー・メーカーによるCentOSの有償サポートは世界でも初めて」(日本HP)という。

 CentOSは,Red Hat Enterprise Linuxから米Red Hatの商標にかかわる要素を除いたフリーのLinuxディストリビューション。「日本では米国に比べ,クラウド・コンピュータのプレーヤーがCentOSなどのフリーOS利用している比率が高い」(日本HP エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括ISSビジネス本部ソフトウェアプロダクト&HPCマーケティング部担当部長赤井誠氏)ことから,日本独自でのCentOSサポートに踏み切った。日本ではすでにミラクル・リナックスなどのソフトウエア・ベンダーやインテグレータがCentOSの有償サポートを提供しているが「大手サーバー・メーカーでは日本初で,世界でも例がない」(日本HP 赤井氏)としている。

 サポート・サービスの名称は「オープンソース・エクスパート・サービス」。日本向けのサービスだが,HPのワールドワイドの製品開発部隊が中心となりサービスを提供するという。「OSのバージョンを上げたら遅くなった,パケットロスが発生した,ユーザーが開発したアプリケーションがcoreを吐いて異常終了するといった問題の原因を調査して対策を提案した実績がある」(赤井氏)。

 対象ソフトウエアはCentOSのほかフリーLinuxのFedora, Debian GNU/Linux, ネットワーク・インフラ・アプリケーションのBIND, Heartbeat, Samba, vsftp, Apache HTTP Server, mod_jk, mod_proxy, Squid, Sendmail, Postfix, Dovecot, OpenLDAP, OpenSSL, OpenSSH, データベース管理システムのPostgreSQL, アプリケーション・サーバーのTomcat, JBoss Application Server, Geronimo, Glassfish, JavaフレームワークのStruts, Spring, JBoss ESB, JBoss jBPM, JBoss Hibernate, JBoss Drools, JBoss Seam, バージョン管理ツールのCVS, Subversionを含む。

 サービス内容は平日8時45分から17時30分までのメールによる問い合わせ対応で,価格は5製品を対象にした年間契約の場合で料金は月額50万円。ただし日本HPの担当者の最大稼働時間は360時間まで。

 日本HPではCentOSの動作検証を始めており,同社のLinux技術情報ページで公開している。

 また同社では日本専用のサーバーとして1Uに2ノードを実装したSE2120を発表した(関連記事)。このSE2120でもCentOSの動作検証を行う予定という。