図1●コーデック「ProRes422」を使ったハイビジョン映像伝送実験の機器構成図
図1●コーデック「ProRes422」を使ったハイビジョン映像伝送実験の機器構成図
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図2●エリア・ワンセグ・サービス実験の機器構成図
図2●エリア・ワンセグ・サービス実験の機器構成図
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 電通国際情報サービス(ISID)は2009年2月10日,情報通信研究機構(NICT)などと共同で実施した仮想化ネットワーク経由の未来型放送利用実験の結果を発表した。ISIDなどは,NICTが運用・管理する研究開発テストベッドネットワーク「JGN2plus」で2009年度からサービス開始が予定されている仮想化ネットワークを利用して,2月5日から順次,各種の未来型放送技術に関する実験を行っていた。

 今回の実験では,IPネットワーク経由で米Apple製コーデック「ProRes422」を用いたハイビジョン映像伝送による放送の生中継に成功した。今回の実験は毎日放送(MBS)と北海道放送(HBC),韓国のOBS京仁TV(OBS)と共同で実施した。ISIDは米Apple製Macを利用したハイビジョン映像伝送システムを開発している。今回の実験ではこのシステムを使用してHBCが撮影したテレビ映像をJGN2plusおよびKOREN (Korea Advanced Research Network)のIPネットワーク経由でOBSまで伝送して,テレビの生中継を13分間実施した(図1)。この実験の成功は世界で初めてだという。

 今回の実験では,送信側にMacPro(8コア),受信側にXserve(8コア)を採用し,ISIDが開発中のハイビジョン映像伝送システム「QualImage/422」を使用した。映像入出力インタフェースにはHD-SDI,コーデックにはProRes422を採用して,約240Mb/sの伝送帯域を利用して放送局にあるスタジオのハイビジョン映像と同品質の映像を伝送した。

 さらにISIDは,朝日放送(ABC)および北海道テレビ放送(HTB)とともに,エリア限定型ワンセグ(エリア・ワンセグ)システムに関した実証実験を実施したと発表した。この実験でもJGN2plusの仮想化ネットワークを利用した。

 おかやまネットワーク技術連携センターに設置したネットワーク対応型エリア・ワンセグのコンテンツ・サーバーから,ワンセグ・コンテンツをIPv6に変換したうえでマルチキャスト伝送した。このマルチキャスト・データを,さっぽろ雪まつり大通り会場「雪のHTB広場」とNICT大手町ネットワーク研究統括センターにある合計3台の送信ユニットで受信して,両地点でエリア・ワンセグサービスの電波を送信した(図2)。

 雪まつり会場のエリア・ワンセグ送信ユニットのうち1台は,HTBが北海道総合通信局より実験局免許を取得したうえで2mWの出力で送信し,雪のHTB広場の一帯で受信した。雪まつり会場に設置されたほかの1台と,大手町ネットワーク研究統括センターの1台では微弱電波で送信した。

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