2009年2月6日,「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」の第1回会合が開催された。同調査会は2008年12月19日,高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)においてICTに関する新戦略の策定を麻生太郎総理が指示したことを受けて始動したものである。具体的には,2015年までの国家としての中長期的なICT戦略を立案する。

 IT戦略本部は,過去に「e-Japan戦略」(2001年1月),「e-Japan戦略II」(2003年7月),「IT新改革戦略」(2006年1月)を打ち出してきた。今回の取り組みは,その後継という位置付けになる。前回のIT新改革戦略は2010年度までを視野に入れたものだったが,その後,クラウド・コンピューティングの台頭をはじめとするインターネットの利用環境の変化に加え,経済情勢が大きく変わったことから,時期戦略策定の議論を前倒しすることになった。

 調査会の活動は,大きく2期に分けられる。まず2009年3月までに今後3カ年の緊急プランを策定する。これは,現状の経済危機を乗り越えるための戦略を示す。調査会の会合は,2月6日に続いて,2月17日,3月2日,3月31日の合計4回行われ,4月中旬までにはIT戦略本部が調査会の報告に基づいて緊急プランを決定する。

 調査会は4月以降,2015年までの中長期戦略についても検討する。6月下旬には新戦略を取りまとめ,再びIT戦略本部に報告する予定になっている。IT戦略本部は,この報告を受けて最終決定する。

 調査会には,NTTデータ取締役相談役の浜口友一氏,日立製作所取締役会長の庄山悦彦氏,慶應義塾大学教授の村井純氏ら25人が名を連ねる。座長は,東京電力顧問の南直哉氏が務める。