金融庁は2009年2月4日から、日本企業に対する国際会計基準(IFRS)の適用の方針を示した文書を公表。4月4日まで意見を募集する。文書の正式名称は「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」。公表に先がけて1月28日に開催した企業会計審議会企画調整部会で、中間報告を審議した(関連記事)。

 中間報告は、日本の会計基準としてIFRSそのものを採用する「アダプション(適用)」の考え方に関する議論をまとめたもの。アダプションを実施するうえでの基本方針や課題のほか、適用方法などを示している。適用方法として、強制的に適用する前に、企業が任意で適用する方法を提示。強制適用を判断する時期は、「2012年以降をメドとすることが考えられる」と示すに留まっている。

 中間報告では、会計システムを変更する際の負担などに言及した具体的な記述はない。ただし開示の際に、XML形式で財務情報を記述するための国際規格「XBRL」を利用する場合の課題を挙げている。

 日本では08年4月1日以降から有価証券報告書などの開示システムである「EDINET」でXBRLの利用を開始。構文規則である「タクソノミ」を金融庁が公表している。これに対し、IFRSに基づいた財務諸表が記述できるXBRLのタクソノミは「開示項目数が日本より少ない」「日本語に対応していない」といった課題があるとしている。

 IFRSは、欧州を中心に世界100カ国以上が採用している。日本では現在、自国の会計基準をIFRSに近づけるための「コンバージェンス(収れん)」を進めている最中だ。コンバージェンスはあくまで日本の会計基準をベースにしているため、完全にIFRSと一致するわけではない。そのため、IFRSそのものを自国の会計基準として採用するアダプションが議論になっている。