三菱電機は2009年2月5日,伝送レートが10Gビット/秒の光アクセス・ネットワーク(10G-EPON)の試作システムを公開した(写真)。PON(passive optical network)は1本の光ファイバを複数の加入者が共有するシステムであり,現行のGE-PONの最高伝送レートは1Gビット/秒。10G-EPONは,その10倍の速度を実現する。
IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)による10G-EPONの標準化が完了するのは2009年9月だが,「製品化にめどが付いた」(同社情報技術総合研究所 光アクセス技術部の下笠清部長)ことで今回の公開に至った。ちなみに,規格名称はIEEE802.3avである。
今回の試作機では,上り下り共に10Gビット/秒の通信を実現する。会見では動態展示はなかったものの,既存の1Gビット/秒動作のユーザー端末(ONU)と混在した32台の接続実験に成功,上りのスループットは9.6Gビット/秒に達したもようだ。「ネットワーク側からユーザー宅に向かう下り方向だけでなく,上りの通信も増えている」(同研究所光アクセス技術部光アクセスノードチームの小崎成治チームリーダー)ため,通信事業者からは双方向10Gビット/秒を実現する10G-EPONに対する要求があるという。
10G-EPONの開発の鍵は,「送受信用のデバイスのいずれでも,光信号のオンオフ時に高い応答性を実現すること」(下笠部長)である。今回の試作品では,発光までの起動時間が6n(ナノ)秒,オフ時の時間は0n秒を実現した。IEEE802.3avの規格上は,いずれも512n秒以下としている。受信デバイス側でも,同規格が定める符号誤り率特性(1e-3)をクリアする。
注)慣習上,1Gビット/秒版はGE-PON,10Gビット/秒版は10G-EPONと表記している(「-」の位置が異なる)。