「国民の共有資産である周波数帯は,可能な限り活用するのが事業者の義務である。携帯電話事業者がMVNO(仮想移動体事業者)として回線を借りようが,携帯電話事業者ではない企業が借りようが,周波数帯を有効利用するのだから義務を果たしている。不当だと主張する意味が理解できない」――。ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏は2月5日,2008年度第3四半期決算説明会の席上,こう発言した。

 2月4日にMVNOの業界団体であるテレコムサービス協会 MVNO協議会が,ソフトバンクモバイルがイー・モバイルの回線を借りてデータ通信サービスを開始すると発表したことに対して反対意見を表明していた(関連記事)。孫社長の発言は,この意見に対して反論したものだ。

 「当社がWiMAXの免許(2.5GHz帯の周波数免許)を取得しようとしたときも,どの事業者に対しても提供する考えを示してきた。携帯電話事業者がほかの携帯電話事業者と回線を貸し借りしてはいけないという考え方こそ,周波数帯の有効利用を妨げるものだ」(孫社長)と主張した。

 他社が持つ周波数帯を利用する前に自社が持つ周波数帯を有効利用しないのかという問いかけに対しては,「競合他社は10年以上かけて基地局数は2万しかない。当社は買収当時に2万局だった基地局数を,5万局まで伸ばした。(自らが持つ周波数帯にも)十分な設備投資をしている」(孫社長)と述べた。