写真●NECの矢野薫代表取締役 執行役員社長
写真●NECの矢野薫代表取締役 執行役員社長
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 NECは2009年1月30日,第3四半期決算の発表に併せて通期の業績予想を大幅に下方修正した。2008年度通期で4兆6000億円の売上高としていた予測を4000億円減となる4兆2000億円に,1200億円の営業利益予測を1500億円減となる300億円の営業損失に修正した。

 発表の席でNECの矢野薫代表取締役 執行役員社長(写真)は,「このような大きな下方修正は痛恨の極み。経営改革を徹底することで期待にこたえる会社にしていきたい」と来期にかける意気込みを語った。

 今回大幅な下方修正に至ったのは,急激な円高の浸透と持ち分会社の業績に悪化によるもの。特にNECエレクトロニクスやNECトーキンなど電子デバイス事業の分野の業績悪化の影響が大きい。この分野の通期売上高予測は当初から1450億円減って6400億円に,営業損益は当初予測から770億円減り,通期は770億円の赤字を見込む。

 携帯端末・パソコン分野については,携帯電話の国内市場の縮小などによって当初の売上高予測から1100億円減の8100億円に,営業損益は170億円減で80億円の赤字に通期予測を修正した。「これまで日本全体で年間5000万台の携帯電話端末の市場があったが,2008年度は3割減となる3300万~3500万台に推移すると予想する。まずはこの国内市場で生き延び,その先に海外展開などを考えて行きたい」(矢野社長)。同社の年間端末出荷予測は,当初580万台としていたところを,今回500万台に下方修正した。

 なお国内市場は縮小しているが,NECの端末シェアは改善しつつあるという。「さらなる開発の効率化によって損益分岐点を引き下げる努力を徹底する。商品力を強化し多様なニーズに応えられる体制を作って行きたい。パソコンと携帯を融合したような製品も作り出していく」(矢野社長)と語った。

 なお来期に向けてNECは事業構造改革と収益構造改革を徹底し,国内外でグループ2万人超の人員削減を実施することも明らかにした。

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