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 日立製作所は2009年1月30日、09年3月期の業績予想を大幅に下方修正した。当期純損益は7000億円の最終赤字に転落すると予想する。08年10月30日時点では150億円の黒字としていた。売上高は同8800億円減の10兆200億円、営業利益は同3700億円減の400億円とそれぞれ修正した。古川一夫社長(写真)は「これほど大きな損失を計上したのは大変遺憾。緊急の収益改善対策を実施する」とした。

 自動車や半導体の不振を受け、電子デバイスや半導体製造装置、自動車向け電子製品、建設機器などの売り上げが急激に落ち込んだ。さらに不況による消費縮小の影響で、デジタル家電、エアコンなどの需要が減少。これらの販売不振で営業利益の予想を3700億円引き下げた。加えて、営業外損失も前回予想から3200億円悪化して4200億円となった。持分法適用会社の業績悪化やリストラ費用、為替差損、有価証券評価損などが響いた。

 ただし、システム構築事業などを含む「情報通信システム」セグメントは堅調に推移している。今回の業績予想見直しでも、下方修正なしで前回予想通りの売上高2兆6300億円を達成できるとする。営業損益は前回予想比40億円減の1690億円の黒字となる見通しだ。長年の課題だったストレージ事業がついに通期で黒字転換した。情報通信関連は景気の影響を即座に受けづらい点も寄与した。

 今後の見通しも「現状の受注高は弱含みだが、情報通信システムはそれほど大きな減少はないと思う」(古川社長)とする。特にストレージ事業はグローバルで好調と強調。「世界ナンバー2のベンダーを目指して伸ばしていく。当面は自社の強化に力を入れるが、(買収も含めて)あらゆるオプションを検討していく」とした。このほかデータセンター構築事業にも注力。「空調や電源なども手掛ける日立グループにとって、データセンターは総合力を生かせる分野だ」とした。

 今後の収益改善策としては、自動車機器関連事業、薄型テレビ・デジタルメディア事業で計7000人を削減。他部門への再配置などで事業構造の転換を狙う。このほか全経費の見直しや資材費の低減、連結子会社の統合、人件費の減額、設備投資の一部凍結などを実施する。半導体を手掛けるルネサステクノロジについても「まずは我々と三菱電機が徹底支援するが、ここまで厳しい状況なのであらゆるオプションを検討しようと考えている」(古川社長)と厳しい姿勢で臨むとした。