情報通信審議会 情報通信政策部会の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」の第12回会合が2009年1月30日に開催された。この会合の中で,地上アナログ放送の終了によって空くVHF帯の一部の周波数を利用して2011年7月以降にサービス開始が見込まれる携帯端末などに向けたマルチメディア放送の実用化に向けて準備が進む電波法と放送法の改正案の概要が報告された。

 改正案では,携帯電話などに向けたマルチメディア放送を「移動受信用地上放送」としている。電波法の改正では,「開設計画の認定制度」の対象として,この「移動受信用地上放送」を提供する無線局に拡大する。開設計画の認定制度とは,無線局(特定基地局)を開設しようとする者が自らその開設に関する計画を策定し総務大臣の認定を受けることによってその計画に沿って一定期間柔軟に無線局を開設できるようにする制度である。これまで携帯電話やモバイルWiMAXの基地局などを対象に運用されてきたが,この対象を広げるというものである。

 もう一つは放送法の改正である。これは,現在衛星放送に導入されている「受託・委託放送制度」の対象範囲を,「移動受信用地上放送」にも拡大する。つまり,ハード事業者とソフト事業者を分離する手法として,導入するものである。

 こうした改正の方向性ついては,「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」(2007年8月~2008年7月)の報告書で提言されていた。改正案はこの報告書に沿って準備を進めてきたものであり,今国会提出に向けて政府内で最終調整を行っているという。