Excelを使ったシステムの受託開発を手がけるベンチャー企業のクレッシェンドは2009年2月、既存のExcelシートからそのExcelの“設計書”を自動生成するツール「DRAMS」の販売を開始する。既存のExcelシートを読み込ませると、そのシートにどのような計算式が含まれているかを一覧表にしたり、どのシートから値を参照しているかを図示したりできる。日本版SOX法(J-SOX)対応の一つであるEUC統制(エンドユーザー・コンピューティング統制、スプレッドシート統制とも言う)に向く。

 EUC統制では、Excelで実施している処理の確からしさを証明する必要がある。Excelなどの現場の担当者が使うツールであったとしても、財務報告に大きくかかわる処理をしているのであれば統制の対象になるという考え方に基づく。Excelでどのような処理を実施しているのかを記載した“設計書”は、確からしさの証明に役立つ。「しかしExcelの場合は一般的な情報システムと違い、そうしたドキュメント類がそろっていないことが多い。そこにDRAMSのようなツールのニーズがあると考えた」(村中直樹社長)。

 DRAMSには同社のノウハウが詰め込まれているという。同社では数年前から、Excelシートを基にした設計書の作成支援サービスを手掛けていた。「現場の担当者が変わると業務で利用していたExcelの使い方がわからなくなる『引継ぎ問題』が顧客企業に起きていたことから設計書の作成支援を開始した」(村中社長)。当初は手作業で作成していたものの、工数がかかることから自動化するツールを社内で開発した。そのツールがDRAMSの前身である。

 DRAMS自体もExcelのマクロで作られている。動作環境はExcel 2002/2003。「シート間のデータのやり取りを解析する」、「使われている関数やマクロの種類を一覧表示する」など機能ごとに八つのツールからなり、必要な部分だけ導入することが可能。料金はライセンスキーを入力することで契約期間中なら利用が可能になる月単位課金。1ツール当たり2万5000~8万円(月額)で、すべてを導入すると約30万円(月額)になる。