写真●JaSST'09 Tokyoで講演するRoger S.Pressman氏
写真●JaSST'09 Tokyoで講演するRoger S.Pressman氏
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 「システムは,今後10~20年で,複雑で多機能化してくる。5億行のプログラムが稼働するシステムでも小規模だとみなされるかもしれない」――。

 特定非営利活動法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)が主催するITエンジニア向けイベント「ソフトウェアテストシンポジウム2009東京(JaSST'09 Tokyo)」において1月28日,米国のITコンサルタントRoger S.Pressman氏がこのような見解を述べた。

 Pressman氏は,ソフトウエア・エンジニアリング分野で国際的に有名なコンサルタント。「実践ソフトウェアエンジニアリング」(日科技連出版社)などの著書がある。ソフトウエアのテストや品質などをテーマとしたJaSST'09 Tokyoの基調講演で,ソフトウエア・エンジニアリングの今後のトレンドを説明した(写真)。

 5億行のシステムすら小規模となるという見解を示したのは,「今後10~20年で,システムが複雑かつ高機能になってくる」というPressman氏自らの予測から導き出したもの。「システム同士が相互に連携するなかで,セキュリティや信頼性を担保しなければならない。今後テスターにとって困難な仕事が増えてくるだろう」と,Pressman氏はみる。

 またPressman氏は「ソフトウエア・エンジニアリングで大きな問題は,技術的な問題よりも,『これから退職するエンジニアの知識をどう受け継ぐか』『多くの関係者とどのように協調して開発を進めていくか』といった,人に関する問題だ」と強調。

 「ITエンジニアは自分が得意な技術に目を向けがちだが,社会学やグループ心理学などのソフトウエア・エンジニアリング以外の分野の知識にも目を向けておく必要がある。それらの修得に時間を割いて,現場に適用すればプロジェクトを円滑に進めることができるだろう」と力説した。