集合住宅設置のイメージ図(発表資料より)
集合住宅設置のイメージ図(発表資料より)
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 シャープは2009年1月23日,60GHz帯のミリ波モジュールを利用した地上デジタル放送伝送システムの試作機を開発したと発表した(発表資料)。開発システムは,例えば無線LANで用いられている5GHz帯に比べ帯域が約125倍広い。ハイビジョン放送などの大容量データを無線送信できる。

 2011年7月の地上アナログ放送の停波に向けて,既築の住宅ではアナログ放送からデジタル放送受信に切替えが必要となる。中でも特に古いマンションなどの集合住宅では,地上デジタル放送に対応するためのケーブルの新設など、大規模な改修が必要となる場合がある。今回試作したミリ波モジュールを利用したシステムは,建物内の複雑な配線工事を必要とせず,「低コストで各階の住居へ無線で地上デジタル放送を伝送することが可能になる」としている。「地上デジタル放送に加え、BS/CS110度放送にも対応」,「特定小電力規格に準拠し無線免許が不要」という特徴もある。

 シャープは,総務省からの委託研究案件(2005年12月から2009年3月まで)として,「ミリ波小型低コストモジュールの研究開発」に取り組んできた。現在最終的な実証実験を実施しており,この成果を生かしながら早期の商品化に向けて取り組む。なお,ミリ波モジュールを利用した地上デジタル放送伝送システムの試作機は,2009年1月23日に総務省で開催された「地上デジタル放送国民運動推進本部」第2回会合においてデモンストレーションした。

■変更履歴
当初発表日を「12月23日」としていましたが,「1月23日」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/1/23 19:33]