ファイバーオプティクスEXPOの基調講演に立つNTTの宇治副社長
ファイバーオプティクスEXPOの基調講演に立つNTTの宇治副社長
[画像のクリックで拡大表示]

 「通信インフラの世界ランキングは1位。この環境を産業競争力の向上に生かしてほしい」。NTTの宇治則孝 代表取締役副社長は,ファイバーオプティクスEXPO 2009(FOE2009)の基調講演に立ち,来場者にこう呼びかけた。

 NTTグループが今後力を入れるのが,サービスやソリューション事業である。現在は,「レガシー系」(宇治副社長)と呼ぶ通信サービスの売上比率が全体の約半分を占めるが,2012年までに25%になるよう,サービスとソリューション事業を拡大する方針だ。講演では,米国のオバマ新大統領が,電子カルテ化率を100%にする方針を示していることなどを挙げながら,行政の電子政府化を含めてICTの利用をさらに増やすべきだと語った。

 NTTグループとしては,有線系のNGN(次世代ネットワーク)を中核に,サービス創造に取り組む。新しいサービスの具体例として,「SaaS(software as a service)」,「テレプレゼンス」,「デジタルサイネージ」,「IPTV」,「高品質ひかり電話」などを,実演を交えながら紹介した。

 インフラ事業については,最近の光ファイバの契約数を報告した。最初の500万契約に達するまでに5年4カ月がかかったが,その後1000万に達するまでの500万契約までは1年10カ月しかかからなかったとした。多くのネットワーク・サービスは加入者が増えると加速度的に増えるものだが,現状での光ファイバはインターネットへの接続や放送向けに使うことが多く,コミュニケーション型が少ない。そのためか,宇治副社長は今後の契約数の推移について注意深く見ていきたいと慎重な姿勢を示した。

 講演では,アクセス回線の光ファイバの敷設コストが,1回線当たり11万円かかっているとした。これは,全費用を純増数で割ったもの。会場からの質問に答える形で,「将来的には,メタル回線と同等の水準にまで落としたい」との意向を改めて示した。