2009年1月21~23日に開催される光伝送関連の総合展示会「ファイバーオプティクスEXPO 2009」(FOE 2009)で,PON(passive optical network)向けチップ・メーカーのテクノバス・ジャパンが10GE-PONの評価装置を使ったデモを展示している。10GE-PONは伝送速度が10Gビット/秒の次世代FTTH向け伝送技術である。2009年9月に標準化が完了する予定。
今回のデモでは,10GE-PONと現行のGE-PONのONU(optical network unit)が,1台のOLT(optical network terminal)配下で実際に動作することを示した(写真1)。
10GE-PONのONUの配下には20台のテレビを接続。20チャンネルの映像(SDTV)を,一斉に送信するデモを見せた。同時にトラフィック生成装置(SmartBits)を使って大量のトラフィックを流し,OLTとONUが備えるQoS機能によって映像パケットの遅延を防ぎ,映像品質を維持できることも示していた。
今回の10GE-PON対応OLT/ONUはFPGAを使った評価ボードとして実装している(写真2,写真3)。今後はこれらを1チップ化する。この1チップ化したONUおよびOLT向けチップのエンジニアリング・サンプルは2009年中に出荷するという。
また,現行のGE-PON向けONUとして,「SFP-ONU」と「POE-ONU」という新しいタイプの装置も展示した。
SFP-ONUは,ギガビット・イーサネット向けの光モジュールSFP(small form factor pluggable)にONUの機能を搭載した超小型ONU装置である(写真4)。同社のONU向けチップを使い,古河電工が製品化している。SFP-ONUは,一般的なLANスイッチやルーターのGBIC(gigabit Ethernet interface connector)に挿すだけでONUとして使える。ONUを別の装置として用意しなくて済むため,スペースの節約や配線の簡略化になる。
POE-ONUは,PoE(power over Ethenet)によってLANスイッチ側から電力を供給するONUである(写真5)。壁にONUを埋め込み,壁の中で光回線を終端するために開発した技術だという。ONUの装置を小型化すれば,宅内にONUの装置を置く必要がなくなる。その場合は電力供給が問題になるため,LANスイッチ側から電力を供給するPoEを採用した。