IBM互換メインフレーム・コンピュータ・メーカーの米T3 Technologiesはベルギーで現地時間2009年1月20日,米IBMがメインフレーム市場で独占的地位を乱用したとして,調査を実施するよう欧州連合(EU)の独占禁止法(独禁法)当局である欧州委員会(EC)に申し立てたと発表した。

 T3は「IBMが自社製メインフレームとOSの抱き合わせ販売や,特許/知的財産ライセンスの停止といった行為で競合他社のハードウエア販売を妨害するなど,市場競争を妨げるさまざまな活動を展開してきた」と主張。ECに対し,IBMの独占的なメインフレーム・ソリューションと,競争阻害による価格つり上げ行為を調査するよう求めている。

 T3によると,かつてメインフレーム市場ではT3のほか富士通傘下の米Amdahl,日立製作所,米Platform Solutions(PSI)といった企業が事業展開していたものの,IBMの計画的な行為によってIBMだけがIBM互換メインフレームを販売する状況になったという。T3は,メインフレーム市場で健全な競争が行われなかったため,欧州は20年間で480億米ドルを無駄にしたと主張している。

 T3は1992~2002年にIBM製メインフレームの販売を手がけ,自社製のハードウエアも提供してきた。しかし同社によると,IBMは市場の独占を図り,他社を閉め出したという。T3はPSIとともに米国でIBMを提訴したが,PSIはIBMに買収されて訴えを取り下げた(関連記事:IBM,メインフレーム技術のPlatform Solutionsを買収)。

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