連邦通信委員会(FCC)は,委員長のKevin J. Martin氏が米国時間2009年1月20日をもって同職を退任すると発表した。同氏は8年前よりFCCに在籍し,2005年3月から委員長を務めていた。

 Martin氏を巡っては,米下院エネルギ商業委員会が昨年12月に,その指導力を疑問視する調査報告書を公開した。同報告書では,同氏が不当に情報,データ,レポートの操作や公開停止を行ったと指摘している(調査報告書)。

 同氏の在任中に行われた主な施策には,TV放送サービスの新規参入促進(関連記事:FCC,TV放送サービスの新規参入促進に向けた立法提案書を承認),700MHz無線周波数帯のオークション(関連記事:700MHz帯オークション,オープン要件付きCブロックの入札価格は47億ドル超),米Comcastの差別的コンテンツ配信の批判(関連記事:FCC,ComcastのPtoPアクセス遮断を「不正」と判断)などがある。

 同氏は,「委員長職に就いている間,規制緩和を推進しつつ,規制緩和と消費者保護のバランスを保つことに注力した」とコメント。また,辞意をブッシュ大統領に知らせる書簡では,電気通信業界がかつてない急速な変化を遂げたことについて,「市場志向および消費者中心の方針をとった結果,米国民は,統合通信とブロードバンド革命がもたらす,より革新的な技術とサービスを安価で獲得できるようになっている」と述べた。

 Martin氏はFCCを去ったのち,米ワシントンDCのシンクタンクAspen Instituteの上級フェローとなる予定。

[発表資料(PDF文書)]