欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2009年1月17日,WebブラウザとOSの抱き合わせ販売が独占的地位の悪用に関する条項に触れるとして,米Microsoftに異議声明(Statement of Objections)を送ったことを明らかにした。

 1月15日付の同声明では,MicrosoftがWindowsとInternet Explorer(IE)を組み合わせて販売し,世界中のパソコンの90%以上でIEを利用可能にすることで,他のWebブラウザとの競争からIEを遮断し,革新的製品開発を妨げ,消費者の選択権を侵害していると結論づけている。

 またIEの普及により,ソフトウエア開発者やコンテンツ・プロバイダはIE対応のソフトやサービスを作成するようになるため,最終的には消費者向けサービス提供に関しても,競争と革新が妨害される危険性があるとしている。

 ECによると,この見解は,欧州司法裁判所の第一審裁判所が2007年9月にECの判断を支持した際の法的および経済的原理に則しているという。ECは,Microsoftが欧州市場におけるパソコンOSの独占的立場を悪用し,メディア・プレーヤのバンドル販売などに関してEU競争法に違反したとして制裁措置を2004年に決定し,第一審裁判所はこれを認めた(関連記事:MSの競争法違反問題,欧州司法裁判所がECの是正命令を支持)。

 Microsoftは1月16日に,ECから異議声明を受け取ったことを発表し,現在詳しく目を通している段階だとコメントした。同社は8週間以内に返答する必要があり,その後口頭審理を要求できる。異議声明におけるECの主張が確認された場合,ECはMicrosoftに制裁金を課す可能性がある。

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