2009年1月1日,ITベンダー各社の代表が年頭のコメントを発表した。2009年の経営環境について異口同音に「厳しい」と語る。しかし各代表とも,この難局にこそ「ITが必要」と強調した。

日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員 小出伸一氏

 2009年,多くの企業にとって喫緊の課題は,「企業基盤を堅持しながらも,いかに経営資源を最適化・効率化し,ビジネスの実績を上げていくか」であると拝察いたします。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は,ITの側面からこの厳しい環境を乗り切るご支援をしてまいりたいと思います。厳しい時期にこそ,イノベーションが生まれます。2009年,日本HPは,変革から進化する企業として,日本市場にイノベーションを起こすべく,まい進してまいる所存です。

東芝ソリューション 取締役社長 梶川茂司氏

 昨年後半から巻き起こったサブプライム問題,リーマン・ショックなどを背景とした世界的な金融不安は,日本経済にも大きな打撃を与え,景気は急速に減退しているところであります。このような厳しい市場環境の中において,企業に必要なのは,投資を厳しく見極めながらも,経営体質強化へ迅速に対応するための課題解決ではないでしょうか。東芝ソリューショングループは,本年もこの難局を乗り切るために,様々な経営課題解決に向けた,付加価値の高いITソリューションの提供に努めてまいります。

インターネットイニシアティブ 代表取締役社長 鈴木幸一氏

 想像を超えた規模の金融クラッシュに続く,経済の停滞は,一つの時代の終焉(しゅうえん)を予感させます。一つの時代が終わるとき,新たに産業を起こし,経済を牽引するのは,社会や生活の仕組みそのものを変える巨大な技術革新です。インターネットこそ,今,その役割を果たす技術革新であることは,疑いありません。本年もインターネットイニシアティブは,将来を担うもっとも重要でグローバルなインフラであるインターネットが,「安全・安心」にご利用いただける「オープンな社会基盤」として発展するよう技術革新のイニシアティブを取り続けてまいります。

EMCジャパン 代表取締役社長 諸星俊男氏

 景気の先行き不透明感が強まる今こそ,当社がこれまで一貫して提唱してきた「情報」を中心とするインフラストラクチャが,お客様が厳しい時代をも乗り越える勝ち組となるための鍵を握っていると,確信しています。例えば,既存システムを有効活用しながら,事業部門ごとにサイロ化された非効率的なシステムを,企業全体として最適化することで,大幅なコスト削減とグリーンITを実現できます。EMCジャパンは,今後もお客様にとってもパートナー様にとっても,日本で一番の情報インフラ・ソリューションの戦略的パートナーであると言っていただけるよう,全社一丸となり日々まい進していく所存です。

マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏

 金融危機の影響で世界の経済状況が急変し,各企業において短期的には投資抑制・経費削減と社員の生産性向上の両立が重要になっています。一方,中・長期的には企業の競争力強化のためには依然として戦略的IT投資が不可欠であると言えます。2009年,企業・法人向け事業では,経費削減や社員の生産性向上など経営強化に直結するITシステムの構築に向けてのソリューションビジネスの推進に注力します。コンシューマ向け事業では,WindowsプラットフォームをベースとしたPC,モバイル,オンライン・サービスを連携させることで,新しいユーザー・エクスペリエンス(体験)を実現するシナリオ提案を継続していきます。

富士ソフト 代表取締役社長 白石晴久氏

 米国に端を発する世界金融の混迷により,日本企業の経営環境は大変厳しいものとなっています。当社においても厳しさが予想されますが,2009年は,安定収益基盤と成長エンジンの確保へ向けて,昨年10月に掲げた「骨太の戦略」の“5つの柱”を推し進めていくことが最優先事項だと考えています。5つの柱とは,「受託ビジネス基盤の強化」「プライム化」「プロダクト化」「グローバル化」「グループ力の強化」。特に,グローバル・マーケットに手を広げることも成長エンジンの確保の方策だと思っています。この5つの柱を強力に推進し,ITのリーディング・カンパニーを目指します。