「一人ひとりの努力の積み重ねが成果につながった」。三菱東京UFJ銀行のCIO(最高情報責任者)を務める根本武彦常務は、最大6000人が参加したシステム開発プロジェクトについてこうコメントする。プロジェクトとは旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行の勘定系システム統合のこと。総費用3300億円、開発工数14万人月。2004年7月の経営統合発表から4年半に及ぶプロジェクトは2008年12月15日に完了した。

 システム開発は長くなるほど、巨大になるほど難易度が上がる。根本常務は「統合プロジェクトを始める前から、システム部門の組織づくりや人材育成を進めてきたことが最大の原動力となった」と振り返る。

 三菱東京UFJ銀は二つのフェーズに分けてシステム統合を進めてきた。第1弾は2006年1月の銀行合併と同時に二つの勘定系システムを相互接続した「Day1」だ。2008年12月に完了した勘定系の本格統合が第2弾の「Day2」である。勘定系は基本的に旧東京三菱銀のシステムに片寄せした。ただしATM(現金自動預け払い機)での通帳繰越など一部の商品・サービスは、旧UFJ銀の機能を採用した。

 最後の難関であるDay2の切り替えは8カ月がかりで臨んだ。まず5月に旧UFJ銀の機能を旧東京三菱銀の勘定系システムに搭載。旧東京三菱銀の店舗約250店で旧UFJ銀と同様の商品やサービスを提供できるようにした。続いて7月から順次、旧UFJ銀の店舗システムとATMの接続先を、旧UFJ銀の勘定系から旧東京三菱銀の勘定系に変更した。この作業では、旧UFJ銀の420店のシステム移行を5回に分ける「店群移行方式」を採用。12月15日に最後の切り替えを終えた。現在はすべての店舗で同一の商品・サービスを提供できるようになっている。