日本BPM協会と同協会が事務局を務めるプロセス志向イノベーション推進会議は2008年12月25日、企業業績、IT投資、組織能力などの関係性を調査した「業務の可視化・改善力実態調査」の結果を発表した。結果からは企業がどのような意識や習慣でビジネスを実践しているかが、業績だけでなくITの有効活用に大きく関与していることがわかった。

 プロセス志向イノベーション推進会議は、仕事のつながり方を的確にデザインする企業マインドを「プロセス志向」と呼んでいる。調査ではプロセス志向が強い企業ほど売上高成長率やITの有効活用度が高かった。

 調査では、企業の業務担当者の意識・習慣から「プロセス志向土壌の豊かさ」を3段階に定義した。部門を越えたプロセスを可視化しているか、事業の成果に応じてプロセス改善の意識があるか、といった設問から導いた。プロセス志向土壌が豊かな企業では、売上高成長率がその企業が所属する業界平均より高い割合が36%であるのに対し、プロセス志向の土壌が貧しい企業では16%にとどまった。

 プロセス志向土壌の豊かさと情報システムの有効活用度合いについても相関関係があった。プロセス志向土壌が豊かな企業では、情報システムを「うまく使えている」割合が18%、「うまく使えていない」割合が1%だったのに対し、貧しい企業では13%と15%という結果になった。

 情報システムをうまく使っているかは、5段階で情報システムの充実度合いを規定した「情報システム装備レベル」と直近3年間の売上高成長率から判断した。情報システム装備レベルは、データの統合性、必要なデータの提供度合い、取引先との情報共有などの実現レベルによって算出した。

 情報システム装備レベルが回答企業が属する業界平均かそれ以下であるにもかかわらず、業界他社と比べて売上高成長率が高い企業を「ITをうまく使えている」と定義した。逆に装備レベルが高いのに売上高成長率が低い企業を「ITをうまく使えていない」とした。

 今回の調査は08年9月に国内主要企業約2500社を対象に実施。回答企業は257社。結果の速報値はプロセス志向イノベーション推進会議のWebサイトから無償で入手できる。

 プロセス志向イノベーション推進会議はプロセス志向イノベーションの研究・提言をするための機関として08年6月に設立。東京工業大学の飯島淳一教授が座長を務める。