みずほ証券が2005年12月のジェイコム株誤発注による損失の賠償を求め東京証券取引所を訴えた裁判の最終弁論が2008年12月19日、東京地方裁判所で開かれた。みずほ証券側は「誤発注を取り消せなかった全責任は東証にあり過失の相殺は認められない」などの主張を総括した最終準備書面をこの日までに提出。「そもそも誤発注がなければ損失は発生しなかった。仮に重過失があるとしても大幅な過失相殺がされるべき」と主張する東証と全面的に対立したまま、第一審が結審した。判決は2009年2月27日の午後1時10分に言い渡される。

 みずほ証券側は最終弁論で次のような趣旨の意見を陳述した。「東証は日本最大の証券市場の担い手であり投資家や証券会社との関係において優越的かつ独占的な立場にある。東証は約定成立前であれば取り消し注文により注文を取り消せるというルールを制定した。にもかかわらず、このルールに従って注文を処理する、あるいは注文を処理できるインフラを整備するという極めて基本的な債務の履行を怠った」。

 みずほ証券側は以下のようにも主張している。「東証の責任の減免を認めて、みずほ証券に一部でも損害を転嫁することは、東証が自らのルール制定行為を通じて取引参加者に与えた信頼を一方的に反故にするのと等しい結果を招く。著しく信義と衡平に反するばかりか、今後取引参加者が被告の市場において予測可能性を持って合理的かつ健全な経済活動をすることができなくなる」。

 裁判は2005年12月にジェイコム株の誤発注により400億円を超える損失を出したみずほ証券が、誤発注を取り消せなかったのは東証のシステムの不具合が原因だとして、東証に約415億円の損害賠償を求めたもの。2006年12月の裁判開始からちょうど2年。13回の口頭弁論を経て、ようやく判決の日が決まった。