米Adobe Systemsは米国時間2008年12月18日,Linux向けリッチ・インターネット・アプリケーション(RIA)実行環境「Adobe AIR 1.5 software for Linux operating systems」の正式版を公開したと発表した。同社のWebサイトから無償でダウンロードできる。開発ツールもWebサイトから入手可能。

 対応Linuxディストリビューションは「Fedora 8」「Ubuntu 7.10」「openSUSE 10.3」。既存のWindows/Mac OS X版に加えLinux版を正式公開したことで,主要OS上で動く共通RIAの開発/提供を可能にした。

 AIRは「Adobe Flash Platform」の中核コンポーネントで,HTML,JavaScript,Flash(ActionScript)などのWeb関連技術をベースとしたアプリケーション実行環境。Webブラウザを使わずに操作性の高いWebアプリケーションを動作できる。AIR対応のアプリケーションの開発には,「Flex 3 SDK」や「Flex Builer 3」などを利用する。

 AIR 1.5はAIRの最新版で,「Adobe Flash Player 10」のカスタム・フィルタ/エフェクトや3次元変換/アニメーションといった機能などを搭載する。表現力を向上させるためにオープンソースの「WebKit HTML」エンジンと,アプリケーションのパフォーマンスを強化するJavaScriptインタプリタ「SquirrelFish」を採用している。暗号化対応データベース機能も備える。

 米DIRECTV,米FOX News,米Nasdaq Stock MarketなどがRIA/ビデオ配信にAIRを利用している。米Major League Baseball(MLB)の公式サイト「MLB.com」は現在コンテンツ配信プラットフォームとして米Microsoftの「Silverlight」を使っているが,2009年よりFlash/AIRに切り替える(関連記事:大リーグ公式サイト「MLB.com」がAdobeと2年契約,SilverlightからFlashに乗り換え)。

 米メディア(CNET News.com)は,AIR for Linuxのベータ版には3次元エフェクト,高解像度テキスト・レンダリング,カスタム・フィルタ,デジタル著作権管理(DRM)などの機能が実装されていなかったと報じている。

 別の米メディア(InfoWorld)によると,ベータ版は「Red Hat Enterprise Linux Desktop」上で動いていたが,Adobeは同Linuxで正式版をテストしなかったという。

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