経済産業省は2008年12月18日,「今年のロボット」大賞2008の優秀賞を発表した。応募のあった65組のロボットの中から8組が優秀賞に選ばれた。
「今年のロボット」大賞は,経済産業省がロボット産業を振興するための取り組みとして2006年から実施している表彰制度だ。その年(2008年の場合は2007年9月から2008年8月の期間)に活躍したロボットの中から,特に将来性が高いものを選出する。
大賞(経済産業大臣賞)に輝いたのは,タカラトミーの「Omnibot17μ i-sobot(オムニボットワンセブンミュー アイソボット)」(写真1)。“世界で最も小さい量産されている人型2足歩行ロボット”として2007年6月にギネス世界記録に認定された玩具ロボットだ。2万9800円(税別)という低価格で実用化したことが評価された。
アイソボットの身長は16.5cm,重量は350グラム。17個の超小型サーボ・モーターと,自動的にバランスを取るためのジャイロ・センサーを搭載し,2足歩行やダンス,格闘アクションなど200通りの動作が可能だ。リモコンからの指示や,「前進」「後退」など簡単な音声の指示を認識して動作する。リモコン上でアクション・プログラムを組み,連続した動作を実行させることもできる。エア・ギターやフラダンスといったアクション・プログラムがあらかじめ組み込まれている。
最優秀中小・ベンチャー企業賞(中小企業庁長官賞)を受賞したのは西澤電機計器製作所の自動ページめくり器「ブックタイム」(写真2)。文庫本サイズからA4判まで本のページをめくることができるロボットで,手が不自由な人の読書を支援する。ページめくりの指示は,本体のボタンを押下するほかに,呼吸でスイッチを押す「呼吸気スイッチ」や,足などで押しやすい「ビッグ押しボタンスイッチ」などを利用できる。本のセッティングも簡単で,介助者の負担を軽減する。
審査委員特別賞は,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センターの田植えロボット(写真3)が受賞した。GPSと姿勢計測装置を搭載し,あらかじめ水田の形状をGPS計測して設計した作業経路に沿って,無人で田植えを行う。30アール(3000平方メートル)の田植え作業を約50分で完了する。
そのほかに優秀賞を受賞したロボットは次のとおり(カッコ内は開発企業・団体)。
- ロボットを活用したエンジニア育成ソリューションZMP e-novoシリーズ(ゼットエムピー)
- 組込型ロボットXR-Gシリーズ(デンソーウェーブ)
- 第10世代液晶ガラス基板搬送ロボットMOTOMAN-CDL3000D(安川電機)
- 能動スコープカメラ(東北大学,国際レスキューシステム研究機構)
- 超小型MEMS3軸触覚センサーチップ(東京大学,パナソニック)
優秀賞を受賞した8組のロボットは,2008年12月19日~21日の間,東京都内のTEPIAプラザで開催する「今年のロボット」大賞展2008で一般公開される。