写真●太陽電池で発電した直流の電力をLiイオン2次電池に蓄電し,直流のまま家電に給電する
写真●太陽電池で発電した直流の電力をLiイオン2次電池に蓄電し,直流のまま家電に給電する
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 東北大学大学院 環境科学研究科は,NECトーキンや住友商事,積水ハウスなどとともに,太陽電池で発電した直流の電力をLiイオン2次電池に直接蓄電し,その蓄電した電力を直流のまま家電に給電する実証試験を実施したと2008年12月17日に発表した(写真)。今回の実証試験は,環境省の地球温暖化対策技術開発事業「微弱エネルギー蓄電型エコハウスに関する省エネ技術開発」プロジェクトの一環として進めているもの。

 現行の家庭用太陽光発電システムは,直流で発電した電力をパワー・コンディショナで交流に変換し,家庭内には交流で給電している。家電などの多くの機器は,実際にはACアダプタなどを介して交流を直流に変換して利用していることから,太陽光発電からの電力は直流から交流,交流から直流へと電力を2回変換している。その結果,仮に変換効率が90%と高い場合でも,2回の変換で2割ほど電力を捨ててしまうことになる。

 これに対して,今回のシステムは発電した電力を変換せずにそのまま供給するため,利用効率を高めることができるとしている。東北大学大学院 環境科学研究科によれば,1kW程度の太陽電池パネルを使い,家電を直流給電に対応させることで,4時間利用の場合で家庭内のCO2排出量を約40%削減することが可能とみている。

 同科では,直流給電を採用した木造の実験講義棟を2010年3月に完成させる予定。新しい取り組みとして今後,微弱エネルギーの回収と再利用にも取り組む。具体的には,風呂の排水溝に取り付けた水車による水力発電や,部屋を流れるそよ風による風力発電,自転車型のフィットネス機器による人力発電によるエネルギーをLiイオン2次電池に蓄電することで,CO2排出量の削減を目指す。

 今回発表したシステムの公開実験を12月26日11時から東北大学大学院 環境科学研究科で開催するという。