写真1●左から朝日新聞社の常務取締役 吉田慎一営業統轄,KDDIの高橋本部長,テレビ朝日の神山経営戦略室長
写真1●左から朝日新聞社の常務取締役 吉田慎一営業統轄,KDDIの高橋本部長,テレビ朝日の神山経営戦略室長
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写真2●2009年夏をめどに開始するニュース配信サービスのイメージ
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 KDDI,テレビ朝日,朝日新聞社は2008年12月15日,共同で新たな情報配信サービスを構築する業務連携を発表した。朝日新聞やテレビ朝日のニュース情報を携帯電話へ即時的にプッシュ配信するサービスを2009年夏をめどに開始する。どこでも素早く読めるという携帯電話の特徴を生かして普及を進め,1000万人以上のユーザー獲得を目指す。

 テレビ朝日や朝日新聞による重大ニュースの速報を,24時間体制で携帯電話に配信する。記事本文だけでなく,画像や動画も送信できる。ブロードキャストSMSと呼ばれる方式を利用し,パケット通信とは別の帯域を用意して,複数のユーザーへ一括配信する。ユーザーの住んでいる場所や好みによって受け取る情報を選択することも可能。配信された記事の情報は携帯電話内に保存されるため,いったん情報を受け取れば,地下など電波の届かない場所でも表示できる。

 KDDIは2社以外の企業との提携も進める。「プラットフォームを用意し,クローズドではない新たな事業モデルを作り上げる」(KDDIの取締役執行役員常務 高橋誠 コンシューマ事業統轄本部長)として,CNNなど別メディアも積極的に取り込む姿勢を示した。サービスの機能や収益拡大のため,グーグルの検索機能や広告配信機能を取り込む構想もある。

 新サービスの料金は未定。有料にするのであれば,NTTドコモが提供している情報サービスのiチャネルと同程度の「150円以上には設定しづらいだろう」(KDDIの高橋本部長)というように低価格に抑える見通し。無料として広告モデルで運営する可能性もある。

 テレビ朝日,朝日新聞社としては従来の放送,新聞といったメディアの枠にとらわれないサービスに進出することで,新たな収益源を獲得したい考え。テレビ朝日の常務取締役 神山郁雄 経営戦略室長は「昨今のテレビ業界の環境は厳しい。デジタル化によってメディア間の競争も激しくなってきた。独立のメディアでは限界が見えてきた」として,インターネットや携帯電話を含む新たな配信方法との連携が不可欠という考えを示した。

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