写真●米セールスフォース・ドットコムのプラットフォームアライアンス&サービス担当プレジデントであるポリー・サムナー氏
写真●米セールスフォース・ドットコムのプラットフォームアライアンス&サービス担当プレジデントであるポリー・サムナー氏
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 「アプリケーションのプラットフォームがクラウドに移行していることが最も重要だ」--。米セールスフォース・ドットコムのプラットフォームアライアンス&サービス担当プレジデントであるポリー・サムナー氏(写真)は2008年12月10日、東京都内で講演を行い、国産ERP「SuperStream」を販売するエス・エス・ジェイ(SSJ)などがセールスフォースのプラットフォーム・サービス「Force.com」の採用を検討していることを明らかにした。

 サムナー氏は、同日開幕した「SaaS World Tokyo 2008」で基調講演を行い、セールスフォースのプラットフォーム戦略について説明した。同社は2007年より、セールスフォースのCRM(顧客関係管理)ソフトである「Salesforce.com」のインフラを使って、ユーザー企業やISV(独立系ソフトベンダー)が独自のソフトを開発できる「Force.com」というプラットフォームサービスを提供している。

 サムナー氏は「Force.comの特徴は、現在110万人の有償ユーザーがいるSalesfoce.comと同等の拡張性、信頼性、セキュリティを備えたアプリケーションを開発できること」と強調。同社は現在、米グーグルや米アマゾン・ドット・コム、米フェースブックなどが提供する各種WebサービスとForce.comとの連携を強化しており、ISVにとってForce.comがますます使いやすくなったと主張した。

 実際にForce.comの採用事例は増えており、セールスフォースのアプリケーション配信サービスである「AppExchange」には、Force.comで稼働するサードパーティ・アプリケーションが50以上登録されているという。サムナー氏はほかにも、英国の大手会計ソフトベンダーであるコーダ(CODA)や、富士通の子会社でERPソフトを販売する米グロービアインターナショナルがForce.comを採用してアプリケーションサービスを既に提供していることも紹介した。

国産ERPのSuperStreamもセールスフォースのクラウドへ

 サムナー氏の基調講演中には、国産のERPソフトで5000社以上の導入実績がある「SuperStream」の開発元であるSSJの竹内伸社長も登壇。竹内社長は、クライアント/サーバー・モデルのアプリケーションであるSuperStreamをSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供する「superstream in The Cloud」を開発中であるとし、そのプラットフォームとしてセールスフォースのForce.comの採用を検討していることを明らかにした。

 SSJの竹内社長は「クラウドコンピューティングによって、ユーザーはアプリケーションを使用するのにどのようなハードウエア、OS、DBが必要か考える必要が無くなる。また、Force.comのようなプラットフォームを採用することで、(様々なWebサービスを組み合わせる)マッシュアップなどが容易になると期待している」と、Force.com採用のメリットを説明した。ただし、SuperStreamをForce.com上で稼働させる上では、超えなければならない課題もあると指摘する。

 竹内社長は「われわれのアプリケーションをクラウドに完全に移行する上で課題となるのは、パートナーとの関係だ。当社はソフトウエアの販売をこれまで、パートナーのネットワークに頼っていた。販売経路をクラウドに一元化してしまうことで、パートナーとの『Win-Win』の関係が変わってしまうことを危惧している」と指摘し、「パートナーとの関係を維持できるようなプラットフォームのあり方を、セールスフォースに考えてもらいたい」と述べた。