写真1●今回発表した「スマートフロントコントローラ」
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写真2●スマートフロントコントローラを使わないと隣のゲートのRFIDタグ8つ分を誤読み取りした
写真2●スマートフロントコントローラを使わないと隣のゲートのRFIDタグ8つ分を誤読み取りした
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写真3●RFIDゲート間にシールドを設置してもRFIDタグ2つ分を誤読み取ってしまう
写真3●RFIDゲート間にシールドを設置してもRFIDタグ2つ分を誤読み取ってしまう
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写真4●スマートフロントコントローラを使うと正しい9つの製品タグだけを読み取った
写真4●スマートフロントコントローラを使うと正しい9つの製品タグだけを読み取った
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 NECは2008年12月9日,UHF帯のRFIDタグ(ICタグ)の誤読み取りとRFIDリーダー・ライター間の電波干渉を防止する「スマートフロントコントローラ」(写真1)を発表した。スマートフロントコントローラ1台に,最大15台のRFIDリーダー・ライターを接続できる。システムを含まない単体の販売価格は180万円程度。出荷開始は2009年2月を予定する。

 UHF帯のRFIDタグは,バーコードのようにリーダー・ライターを接触させなくても離れた距離から一括読み取りが可能なため,大量の商品管理に適している。大規模な倉庫では,ゲート型のRFIDリーダー・ライター(RFIDゲート)を設置し,台車に積まれた製品やコンベア上の製品のRFIDタグを一括して読み取って入出庫を管理している。

 このように大量の商品を管理するには利便性がよい半面,誤読み取りなどの問題が発生していた。UHF帯のRFIDタグは使用可能な周波数帯が狭いため,RFIDゲートの周囲にある対象外のタグも誤って読み取ってしまうことがあった。また,複数のRFIDリーダー・ライターが近くにある場合に,それらの間での電波干渉が問題となっていた。スマートフロントコントローラは,この2つの問題を解決する。

 スマートフロントコントローラは,複数のRFIDリーダー・ライターが読み取ったデータをバックヤードのサーバーに送る前に,独自のフィルタリング機能で読み取り対象外のRFIDタグの情報を除去して,誤読み取りを防止する。また,RFIDリーダー・ライター間の電波干渉を低減するための個別調整も,運用端末から一括で実行できるようにする。これまでのように,専門の技術者が現場に行って,RFIDリーダー・ライターの向きや読み取り周波数領域などを直接調整する必要がない。

 NECは同日,東京流通センターにあるNEC RFIDイノベーションセンターで,スマートフロントコントローラを使ったRFIDタグ読み取りのデモを披露した。デモでは,9つのRFIDタグ付き製品を載せた台車がRFIDゲート1を通過させながら,それとほぼ同時に横に置いたRFIDゲート2にも別の9つのRFIDタグ付き製品を載せた台車を通過させてみた。

 すると,スマートフロントコントローラを使わない場合に,左側のRFIDゲート1は読み取った製品数は17個だった(写真2)。右側のRFIDゲート2を通過したRFIDタグ8個分についても,誤って読み取ってしまっていることがわかる。

 続いて,RFIDゲート1とRFIDゲート2の間に物理的なシールドを設置した場合のデモを見せた(写真3)。この状態でRFIDゲート1は読み取った製品数は11個となり,シールドを置いても誤読み取りを完全には防ぐことはできなかった。

 これに対し,スマートフロントコントローラを使った場合のデモが写真4である。この場合は,RFIDゲート1で正しく9個の製品タグを読み取っていることを示した。