マイクロソフトは2008年12月4日、同社製品の偽造ソフトウエア販売への対策を強化すると発表した。売買の場であるインターネットオークションの出品者の取り締まりでヤフーと協力、偽造ソフトを購入した被害者のための電話相談窓口を本日から設置する。同社は従来から海賊版や偽造品の流通防止策を講じてきたが、08年秋に偽造ソフトが組織ぐるみで大量に製造され、流通していることを確認。購入機会の広がる年末年始を前に対策強化に踏み切った。
今回マイクロソフトが対策強化に踏み切るのは、Windows OSのリカバリメディアの偽造ソフトだ。リカバリメディアは本来、パソコンにインストール済みのOSを再度セットアップするためのもの。このリカバリメディアを大量に複製し、ディスク表面に印字などの加工をしている。これらの偽造ソフトはインターネットオークション上で「正規品」などとして数百円からと安価で売買されている。オークション上には正規品の写真を流用することもでき、消費者には正規品か偽造品かがわからない。
同社はヤフーと協力してインターネットオークションでの偽造ソフト出品の監視とID削除依頼の強化を進める。悪質な出品者については捜査当局への情報提供も行う予定だ。ヤフー以外のネットオークションサービスを運営する会社とも、順次協力を広げていく。一方購入してしまった被害者のための電話相談窓口を本日から09年1月9日まで開設し、偽造ソフトの判別や正規ソフトの購入方法などの情報提供を行う。
「ヤフーオークションではWindows OSが、常時約3000点販売されている。この1年間で約7万人が偽造ソフトを購入している。日本の被害総額は世界でも2番目に高い」とマイクロソフト執行役 法務・政策企画統括本部長で弁護士でもある伊藤ゆみ子氏は説明する。流通しているソフトの中には悪意のあるソフトが組み込まれたものもあり、正常に作動しないだけでなく潜在的なセキュリティ侵害の危険性もあるという。
今後は同社のオフィスソフトなど他の製品についても監視を強化し、状況によっては対策を強化する。電話相談窓口はひとまず09年1月9日までとしたが、問い合わせ状況に応じて延長もあり得るという。