SAPジャパンは2008年12月13日から「ビジネスプロセス・エキスパート認定制度」を開始する。ビジネスプロセス・エキスパートは、「ユーザー部門の方向性や戦略を理解し、ユーザー部門からシステム化の要求があった業務を構造化できる専門家を指す」(SAPジャパン ビジネスプロセスプラットフォーム本部の福田譲本部長)。認定制度では「特定製品を使いこなせるといったスキルではなく、システムを理解しながら同時に、技術の制約を抜きにして業務を構造化できる力」(福田本部長)をみる。特定の製品に依存しない資格を独SAPが提供するのは初めて。

 ビジネスプロセス・エキスパート認定制度は「パートナー企業に限らず、ユーザー企業のシステム部門やエンドユーザーも対象にしている」(福田本部長)。日本で公式に認定制度を始めるのに先駆けて、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)のコンサルタント3人が認定資格を取得した。ビジネスプロセス・エキスパートの認定資格者が出たのは、全世界で初めての例だ。SAPが要請したのではなく、IBCSが自主的に取得したという。

 SAPジャパンはビジネスプロセス・エキスパートのトレーニングコースを3種類、12月8日から提供する。また12月4日からSAP関連の情報提供Webサイト「SAP Community Network(SCN)」を日本語化し、SCNの中でビジネスプロセス・エキスパート向けの情報を提供する。現状、認定資格の取得者数の目標は定めていない。「ニーズを見極めながら、教育コースの提供などを考えていく」(福田本部長)計画だ。

 また認定制度の提供と並行してSAPジャパンは、ビジネスプロセスを記述しプロセスを実現するためのサービスを呼び出してアプリケーションを作成する過程を支援する製品「SAP NetWeaver Business Process Management(BPM)」を09年1~6月の間に出荷すると発表した。NetWeaver BPMの特徴は、ビジネスプロセスの記述方法で、業界標準となりつつある表記法「BPMN(Business Process Modeling Notation)」をサポートしたこと。BPMNはシステムの振る舞いだけでなく、「人間同士のインタラクションを含めて、業務プロセス全般を表記できる」(福田本部長)メリットがある。

 SAPジャパンはビジネスプロセス・エキスパートが、NetWeaver BPMを利用してビジネスプロセスを記述し、システム化を要望してきたエンドユーザー部門と話し合いながらシステムを実装していく、といった使い方を想定している。ただし「ビジネスプロセス・エキスパートの教育コースは、NetWeaver BPMの利用を前提にしているものではない」(福田本部長)という。