フェムトセル普及推進団体のFemto Forumは米国時間2008年12月2日,フェムトセル電波に関する調査研究結果を発表した。それによると,フェムトセルの基地局を高密度に配置した場合,マクロセルと同一のチャネルを利用してもモバイル・ネットワークだけを利用した場合と比べて10倍以上の伝送容量を実現できる可能性があるという。

 この調査研究では,モバイル・ネットワークとフェムトセルを共存させるために,フェムトセルを広範囲に展開するシナリオで干渉などの問題を検証した。周囲のマクロ・ネットワークに対して別々の搬送波を使ったフェムトセルと,同じ搬送波を使ったフェムトセルの両方を検証したところ,搬送波が異なる場合には,基本的に干渉を回避できることが証明された。しかし,多くの第3世代(3G)通信事業者は,実用化に向けて十分な周波数帯を用意していない。また,マクロ・ネットワークとの干渉軽減については,すでにいくつかの技術がフェムトセル製品に導入されているという。

 「モバイル・ネットワークで伝送データ量が急増した場合,フェムトセルはこの需要に対応する経済的かつ効果的な手段を提供する。通信事業者は,干渉を管理する技術を利用しセルを高密度に配置することで,既存ネットワークの容量と通信範囲を効率的に拡大できるのだ」(Femto Forum会長のSimon Saunders氏)。

■変更履歴
記事公開時,英文の発表資料に基づき第2段落で「carrier」を「通信事業者」と翻訳していましたが,これは「搬送波」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2008/12/10 17:12]