写真●VMware View 3の全体像
写真●VMware View 3の全体像
[画像のクリックで拡大表示]
画面●View Managerのコンソール
画面●View Managerのコンソール
[画像のクリックで拡大表示]

 ヴイエムウェアは12月3日、クライアント仮想化の新ソリューション「VMware View 3」を提供開始すると発表した。従来の仮想デスクトップ「VMware Virtual Desktop Infrastructure(VDI)」を機能強化したほか、アプリケーション仮想化技術「ThinApp」などを組み合わせた。クライアントで仮想マシン(VM)を稼働させる「オフラインデスクトップ」機能も追加した。

 「単にシンクライアント化を推し進めたわけではない」。VMware View 3の特徴をヴイエムウェアの三木泰雄 代表取締役社長はこう話す。「ユーザーは必要なデータとプログラムを好きな場所、好きなデバイスで使いたいと考えている。オフラインデスクトップもそれに応えるもの」と続ける。VMware View 3は以下の四つのコンポーネントから成る。(1)VDI、(2)Storage Optimization、(3)Application Virtualization、(4)Client Virtualization(写真)。

 (1)は従来の仮想デスクトップをカバーする部分であり、仮想化ソフト・スイート「VMware Infrastructure」と管理ツール「View Manager」が担う。仮想化ソフトで1台のサーバー上に複数の仮想マシンを稼働させ、各仮想マシンにクライアントOSやアプリケーションを導入する。ユーザーは端末から仮想マシンへキーボード/マウスの信号を送り、仮想マシンから処理結果の画面を受け取る。

 (2)は、(1)で構築した仮想デスクトップの管理を効率化する機能。「View Composer」により、仮想マシンをマスターVMとクローンVMに分けて管理できる。各ユーザーが利用するクローンVMはマスターVMをリンクする形で生成する。OSへのパッチ適用などはマスターVMに対してのみ行えば済むので管理が容易になる。仮想マシンの定義を保存するディスク容量の削減にもつながる。また、仮想マシンが利用するディスク領域をシステム用途(システムディスク)とユーザー用途(ユーザーデータ ディスク)に分けて管理することも可能だ。

 (3)は「ThinApp」によるアプリケーションの仮想化である。アプリケーションやシステムファイルなどをEXEファイルとしてパッケージ化できる。このパッケージを配布すれば、セットアップなしにアプリケーションが実行可能だ。ThinAppを(2)と組み合わせ、仮想マシンに対してアプリケーションを配布することで、仮想デスクトップ管理のさらなる効率化が図れる。

 (4)は、オフライン状態でも仮想デスクトップを利用しようという技術。あらかじめクライアントには仮想化ソフト(VMware ACE)をインストールしておく。通常、ユーザーはサーバー側の仮想マシン上でデスクトップ環境を稼働させ、(1)の画面転送型シンクライアントを利用している。オフラインで利用したいときは、デスクトップ環境をサーバーからクライアントにダウンロードし、クライアントの仮想マシン上で稼働させる。

 オフラインで利用中のクライアントは、再びオンラインにしたタイミングで、デスクトップ環境の差分をサーバーに転送して同期を取る。サーバー側で一括管理するという形態を保ちつつ、「通信できない環境でも仮想デスクトップを利用したい」「マルチメディアなどの重い処理はクライアントのリソースで処理したい」といったニーズに応えられる。

 そのほか、「Virtual Printing」や「Unified Access」といった新機能を加えた。前者は印刷データをサーバー側で圧縮してクライアントに配信する機能。後者は、端末からのアクセスを仮想デスクトップだけでなくブレードPCや物理PCなどへ中継する機能で、View Managerが担う(画面)。

 VMware View 3には「VMware View 3,Enterprise Edition」「同,Premier Edition」の2種類がある。製品パッケージとして、「View Enterprise Starter Kit」は10台までの同時接続ユーザーライセンス(1年間Goldサポート込み)が約25万円~(市場予想価格)。このパッケージはVMware Infrastructure Enterprise Edition (2CPU)、vCenter Foundation、View Manager 3を含む。

 「View Premier Starter Kit」は上記にView Composer、ThinApp(Packager、1 VMware Workstation、10クライアント)、オフラインデスクトップ(試験的サポート)を加えたもの。先のEnterprise Starter Kitと同じ利用条件で約42万円(同)である。