米電子フロンティア財団(EFF)は米国時間2008年12月1日,米サンフランシスコの連邦裁判所で翌日開かれる審問会において「非合法的な監視活動に参加した通信事業者の免責を認める連邦法は違憲だ」と主張する意向を明らかにした。

 EFFが問題としているのは,国際機密情報監視法(FISA:Foreign Intelligence Surveillance Act)の改正法(FAA:FISA Amendments Act)。EFFは,この改正法が言論の自由を保障する米国憲法修正第1項と不法な捜索や押収を禁止する同第4項によって認められた権利を侵害し,連邦政府の三権分立に違反すると主張。また正当な法的手続きを踏まずに罪のない通信サービス利用者の権利を剥奪するものだと抗議する。

 FAAは,Bush大統領が2008年7月に承認した。FAAの成立により,捜査令状なしの監視活動において,「監視活動は行われなかった」「合法的な監視活動だった」または「大統領によって認められたもの」と政府が裁判所に対して証明した場合,この監視活動に協力した通信事業者に対する訴訟の取り下げが可能となる。

 EFFは,米AT&Tが顧客の通信記録を米国家安全保障局(NSA)に不正に提供したとして集団訴訟を起こしている。また,米自由人権協会(ACLU:American Civil Liberties Union)とともに,政府の捜査令状なしの監視プログラムに関連する46件の訴訟にかかわっている。