写真◎左から順に、日立製作所の奥出聡氏、同 中島純三氏、独SAPのマンフレッド・ハイル氏、SAPジャパンのギャレット・イルグ氏
写真◎左から順に、日立製作所の奥出聡氏、同 中島純三氏、独SAPのマンフレッド・ハイル氏、SAPジャパンのギャレット・イルグ氏
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 日立製作所と独SAPは2008年12月2日、日立がSAPと「グローバル サービスパートナー」契約を締結したと発表した。日立はERP(統合基幹業務システム)パッケージをはじめとするSAP製品のマーケティングや販売、SAP製品を使ったシステム構築を共同でグローバルに展開する。今回の協業により、2011年までに海外事業の規模を3倍に増やし、ビジネス規模を現在の380億円から600億円に拡大していく考えだ。

 日立は1994年にSAP関連ビジネスを開始。「すでに200サイト以上の導入実績がある。日立コンサルティングを通じて北米でも事業を展開している」(日立製作所の中島純三 執行役常務 情報・通信グループ副グループ長)。海外では、日本企業が海外展開する際のシステム導入支援を中心に手がけてきた。

 今回、グローバル サービスパートナーとなることで、急激に進む企業のグローバル・ビジネスを支援する体制を整備すると同時に、米国や欧州、中国をはじめとする海外でのSAP関連事業を強化する。「まずは日本と米国での事業拡大を狙い、その後欧州、中国で新規顧客を獲得していきたい」と日立製作所 産業・流通システム事業部の奥出聡副事業部長は語る。

 SAPのグローバル サービスパートナーとなるのは、日立が世界で20社目。日本企業では富士通に続いて2社目となる。同パートナーとなるには顧客満足度や国内・海外における導入実績、SAP認定コンサルタントの人数など複数の条件を満たす必要がある。独SAP グローバルサービスパートナー グローバルエコシステム&パートナーグループのマンフレッド・ハイル シニアバイスプレジデントは「日立はサービスの能力と、ハードウエアを含む技術力や知識の双方を備えている。グリーンITやクラウドコンピューティングなど新たなニーズに応えるうえで、この点がより重要になる」と話す。

 SAPジャパンのギャレット・イルグ代表取締役兼CEO(最高経営責任者)も「パートナーシップは結婚と同じ。入念な準備が必要。これまで日立とは15年をかけて準備してきた。これから両社で世界中のITのランドスケープを変えていきたい」と期待を述べた。

 日立はSAP COIL(SAP Co-Innovation Lab)を利用して、製品の相互検証も進めていく。日立が提供する開発環境やミドルウエアとSAP製品との連携を検証し、新たな製品やサービスの実現につなげていきたいとしている。今回の協業に際し、「日立SAPグローバルセンタ」と呼ぶ10人程度の組織も設立した。事業規模の拡大に向け、日立グループ全体で1600人いるSAP担当システムエンジニアを2011年までに2080人以上に増員、SAP NetWeaverなどSAP最新技術のエンジニアを200人にする予定だ。