米Broadcomと米QUALCOMMの間で係争中の特許侵害訴訟において,米連邦巡回控訴裁判所は米国時間2008年12月1日,QUALCOMMが業界標準の策定プロセスで特許情報を隠ぺいしたとする連邦地方裁判所の判断を支持する判決を下した。これにより,QUALCOMMは当該標準をベースにしている製品に対して,特許料の支払いを要請できなくなる。

 QUALCOMMは2005年に,映像符号化方式のH.264規格に関する2件の特許を侵害されたとしてBroadcomを提訴した。しかしBroadcomは,QUALCOMMがのちにロイヤルティを徴収することを狙って,同規格を策定する段階で,同社が保有する関連特許を意図的に標準化団体JVT(Joint Video Team)に告知しなかったと反論。カリフォルニア州サンディエゴの地裁は,Broadcomの主張を認め,QUALCOMMが標準規格策定においてJVTを欺いたと結論づけた。

 地裁は,Broadcomが特許侵害にあたらないとし,QUALCOMMに対して,H.264関連の特許を行使する権利を放棄するほか,Broadcomの裁判費用などを全額支払うよう命じていた。

 Broadcomは,QUALCOMMが他の携帯電話関連の標準化団体に対しても同様の不正行為を行っていると主張し,「今回のケースは氷山の一角だ」と述べている。

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