写真●青山学院の松澤建理事長(右)とマイクロソフト代表執行役 社長 樋口泰行氏(左)
写真●青山学院の松澤建理事長(右)とマイクロソフト代表執行役 社長 樋口泰行氏(左)
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 マイクロソフトは2008年12月1日,青山学院にホスティング型の電子メール・サービスや,在学生・卒業生の情報管理システム,在学生のアカウント管理システム,アプリケーション仮想化技術の4つを提供すると発表した。

 「学校経営力の強化と国際競争力のある人材の育成を目標としたICT戦略」(青山学院の松澤建理事長,写真)だという。また,これらのシステム導入効果の検証を「産学協同で取り組んでいく」(松澤理事長)。

 マイクロソフトが青山学院に提供するのは次の4つ。

  1. 教育機関向けのホスティング型電子メール・サービス「Microsoft Live@edu with Exchange Labs」(Exchange Labs)
  2. 企業向け顧客管理システム「Microsoft Dynamics CRM」による在学生・卒業生の情報管理
  3. 「Microsoft Active Directory」による在学生のアカウント管理
  4. アプリケーション仮想化技術「Microsoft Application Virtualization」(App-V)

 (1)のExchange Labsは,マイクロソフトが教育機関向けに提供しているホスティング型の電子メール・サービス。青山学院は,在学生とその保護者,卒業生,教職員の間のコミュニケーション・ツールとして導入する。

 ユーザーは,PCやMicrosoft Exchange Activesyncがインストールされている携帯電話から,Outlook Web AccessやMicrosoft Office Outlookを使って電子メール/連絡先/カレンダなどの情報にアクセスできる。すでに80カ国以上の数千校で利用されているため,海外の学校との交流にも活用できる。また,Exchange Labsのアカウントは卒業後も維持されるため,卒業生の間のコミュニケーションも円滑になるという。

 青山学院は,まず,2009年4月から教職員と青山学院大学の在学生の計3万人にExchange Labsアカウントを提供する。その後,対象を幼稚園,初等部,中等部,高等部,女子短期大学,大学院,保護者,卒業生へと順次拡大し,2009年秋ごろまでに計15万人の利用を目指す。「15万人を対象としたExchange Labsは世界最大規模」(マイクロソフト代表執行役社長 樋口泰行氏,写真)という。

 (2)のMicrosoft Dynamics CRMは,マイクロソフトの企業向けCRMソリューション。青山学院ではまず,2009年6月に卒業生向けにサービスを提供し,その後,幼稚園から大学・大学院までの在学生や,オープン・キャンパス参加者にまで対象を拡大していく予定だ。たとえば,在学生の入学時からの成績や出席状況,クラブ活動などを一元管理することで,効果的な学習・指導計画を立てられるという。また,保護者や入学希望者に対しての情報提供が効率的に行えるため,「青山学院のブランド・イメージ向上に貢献することを期待している」(松澤理事長)という。

 (3)のMicrosoft Active Directoryに関しては,青山学院の在学生のアカウント管理一元化に活用する。青山学院はこれまで,初等部から大学・大学院までのそれぞれでドメインを立てて在学生のアカウントを管理していた。Active Directoryの導入により,IT管理者の負担が軽減されるほか,在学生がシステムにアクセスする際の認証作業が1回になり利便性が向上するという。

 さらに松澤理事長は「キリスト教信仰に基づく我々のスクール・モットーの1つに“幼稚園・初等部からの一貫教育”がある」と述べ,初等部から大学・大学院まで一貫したアカウントで管理できることは大きな意味があるとの考えを示した。

 マイクロソフトのアプリケーション仮想化技術である(4)のApp-Vは,2009年4月から大学と女子短期大学のシステム計3000台に導入する。App-Vの導入により,1台のPCで多言語の同一アプリケーションを同時に起動できる。青山学院はこれにより,留学生に母国語で扱えるPC環境を提供できるほか,海外の学生とのコミュニケーション活性化も期待できるという。