日本航空は2008年11月28日、航空機の整備業務を担う新システムを11月18日に稼働させたと発表した。従来は航空機の整備計画の管理システムや部品情報の管理システムなど約100の業務システムを使っていたが、今回SAPジャパンのERP(統合基幹業務システム)パッケージを使い一つに統合した。システム構築は日本IBMが担当した。投資額は約300億円。

 新システムの名称は「JAL Mighty」。主な機能は「整備計画の管理」「部品情報の管理」「整備士の資格情報管理」の三つ。整備計画の管理機能は「航空機が現在何時間飛行したか」「前回の整備日はいつか」といった情報から最適な整備計画を割り出す。

 部品管理機能は、部品一つひとつにつきメーカー名や購入費用、製造年月日、利用年月などを保存し、検索するためのもの。対象となるのは160機の機体、460機のエンジン、50万個の装備品にそれぞれ使用されているすべての部品だ。部品の在庫状況なども併せて管理する。

 整備士の資格情報の管理機能については、2007年に先行稼働させた。約7500人の整備士の資格は航空機の機種やエンジンなどごとに細かく分かれており、さらにその中で技術レベルによってランク分けされている。整備士の資格取得状況を把握し、どの機体の整備にどの整備士を割り当てるのが適切かをシステムが管理する。

 従来はこれらの機能を担うシステムが、機体や整備工程などによってさらに細かく分かれていた。新システムの導入で「個別の整備システムやデータ管理の負荷が軽減し、業務が効率化できる」(JAL広報)。具体的には部品の在庫数を約3%程度削減できるなどの効果があるという。投資の回収については、「約8年で可能だと見込んでいる」(同)。