独立系システム開発会社のアクセス(大阪市中央区、ジャスダック上場)の粉飾決算事件で、証券取引法(現・金融商品取引法)違反と会社法の特別背任の罪に問われた前社長の北 博之被告の判決公判が、11月28日に神戸地方裁判所で行われた。佐野哲生裁判官は、北被告に懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年)の有罪判決を言い渡した。

 判決などによると、北被告はアクセス創業者で元社長の村上次男被告と共謀。2005年3月期決算で、本来なら翌期に計上すべき売り上げを前倒しで計上した。売上高の水増しは約13億円で、約11億円の赤字だった業績を約2億円の黒字であるとした虚偽の有価証券報告書を提出した。このほか、村上被告が韓国に設立したASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業会社の経営を支援するため、協力会社を通じて外注費名目で総額約20億円を拠出した。

 佐野裁判官は、「(北被告が)会社の倒産を防ぐためとして計画性を否定していたが、そもそも事業計画が不相応だった。取引先の協力を得るなど組織的、計画的と言うほかない」と指摘。その一方で、「村上被告の指示に抗(あらが)えずに犯行に及んでいた」と述べ、情状酌量の余地が残るとした。

 証券取引法違反の罪に問われていた会社としてのアクセスに対して、佐野裁判官は罰金500万円(求刑罰金1000万円)を言い渡した。今後は村上被告の公判が行われる見通しで、不正行為の主導的立場にあったとされる同被告に対する司法の判断が注目される。