日本システムディベロップメントの沖中一郎社長
日本システムディベロップメントの沖中一郎社長
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 「当社の強みは同じユーザー企業と徹底して取り引きを続け、顧客を知りつくすこと。垂直統合型のビジネスモデルが当社のITサービスの強みだ」--。2008年11月26日に都内で開かれた「IT Service Forum 2008」で、日本システムディベロップメント(NSD)の冲中一郎社長はこう語り、垂直統合型のITサービスの強みを説いた。

 比較の対象にあるのが、「医薬業分野向けのERP(統合基幹業務システム)では他社に負けない」といった、特定分野のソリューションを強みに顧客を開拓する水平統合型のITサービスの事業モデルである。ノウハウが容易に横展開でき、顧客がパッケージ製品を受け入れる傾向が強まっていることから、ITサービス業界では水平統合型の事業モデルを目指す企業が増えている。

 これに対してNSDは、売上高の7割以上を同社が「一生客」と呼ぶ、長期の取引関係を持つ顧客から上げている。「20~30年にわたって取り引きが続いている顧客もある」(冲中社長)。このような垂直統合型の事業モデルを取ったことで、「販売費は8%以下と業界の中で極めて低い水準を保ち、SEの稼働率は9割以上を達成している」と冲中社長は説明。直近の2008年3月期決算で営業利益率20%、38期連続黒字決算を達成した秘訣も、垂直統合モデルにあると説明した。

 冲中社長が説明する垂直統合モデルの強みは、顧客の事情をよく知ることで商談での勝率を高められるので販売費が抑えられることに加え、顧客の案件情報を事前に把握することでSEの稼働率を高められる点である。また顧客の業務に対する知識を蓄積でき、赤字化する失敗案件も極めて少なくできているという。

 さらに冲中社長は、垂直統合モデルは不況にも強いと主張した。顧客との長期の信頼関係がベースになる垂直統合モデルは、新規顧客の開拓に依存する水平統合モデルよりも、IT投資の変動の影響を受けにくいという。

 垂直統合モデルを確立するため、NSDでは顧客重視の組織体制に力を入れている。開発に関しては、受託開発の外注比率を低く抑え、原則としてオフショアは禁止。営業は長く同じ顧客を担当することで、顧客に対する知識を深めている。冲中社長は、こうした施策で顧客の信頼を勝ち得ていることが、垂直統合モデルを支えていると説明した。

■変更履歴
冲中一郎社長のお名前のうち苗字を沖中と表記していましたが,正しくは冲中です。お詫びして訂正します。本文およびタイトルは修正済みです。 [2008/11/27 20:46]